【前編】クズの俺が父親になった話

してい?


はよ


ありがとう。

学がないので文才はないのであしからず。
色々あったので、整理するつもりで書いていく。


俺はどうしようもないクズだった。

中学卒業して進学もせず働きもせず、地元のやつらとつるんでは悪いことばっかりしてた。
16の夏強盗と傷害で少刑に入った。
出所後、生き方を変えようと決意したけど、人間関係がうまくいかず職場を転々として挫折。


結局それからも悪いことばっかしてたんだよ。

何してたかとかは端折る。御想像におまかせするわ。
22歳になって、街でナンパした女が妊娠して所帯持ちになってしまった。
相手は24歳のキャバ嬢。
嫁と子供ができても、俺は全然変われなかった。いや変わらなかった。


おう、クズだな


クラブに行っては女をナンパして、ホテルで目が覚める。

そのままツレん家行って時間潰し。
夜になったらまたクラブって感じだった。
嫁と子供が住んでるアパートには、週に一回帰るかどうかって感じだ。
どうでもよかった。何もかも。俺の人生ド底辺だしもうやりたい放題だった。


籍入れて最初は、しょっちゅう嫁からメールや電話があったけど、当然シカト。呆れ果ててたんだろう。嫁からの連絡はなくなった。

たまに家に帰れば喧嘩。
「ちゃんと仕事してよ。生活費だけでもいいから入れて。」
「うるせー。キャバクラで働いてた時の貯金があんだろーが。指図すんな。」
正直めんどくさかった。


一応結婚してすぐはちゃんと働いてたんだ。

契約だけどさ。
工場部品の営業なんだけど、全然契約がとれなくっていつも上司にどやされてた。


無能だとか、中卒だから駄目だとか、クズに無駄な給料払ってやる余裕はないって言われて、まあ正論なんだけどな。

ある日、会社の係長の財布がなくなったんだ。
疑われたのが俺だ。
いや、完全に犯人扱い。
まあフラグがたってるよな。


上司「おい俺!お前え仕事は出来ねーのに、泥棒はするんだな」

いつも俺を目の敵にしていた上司が、因縁つけてきた。
俺「いや、やってねーっすよ」
上司「おまえ以外に誰がやるんだよ。バカか?」
書類で頭を叩かれた。
すると女子社員が来て、
「係長の財布見つかったそうです。
お昼に定食屋さんに忘れてきたみたいで」


上司「そうなのw

まあでもおまえが疑われやすい見た目だから悪いんだよw」
俺は上司を睨みつけた。
上司「何だその目は?反抗的だな?
だから中卒は駄目なんだよ。脳味噌入ってないんだろ?」
ついに我慢出来ずに上司をぶん殴ってしまった。
会社からは事件にはしないがクビだと言われた。
あたりまえだが。


俺は嫁にクビになったことを言出せず、毎日公園とかパチ●コ屋の休憩所で時間を潰してた。

俺が悪いんじゃない。世の中が悪いんだって自分に言い聞かせて。
な?クズだろ俺。
結局給料が入らないから嫁にバレた。


殴るんじゃなくてパワハラで訴えればよかったのに


でも今更自分を変えられない。自分を受け入れてくれる世界なんてない。

とうとう俺は家に帰らなくなった。
俺は本当にクズなんだ。
親を早くから亡くしたせいか。
唯一肉親の息子のことだけは気になっていた。


クラブでナンパした女の家に転がり込んで、嫁からの連絡はシカトし続けた。

そんなある日、
知らない番号から電話がかかってきた。


読んでくれてる人ありがとう。

俺「はい?どちらさん?」
「○○保育園の佐々木と申します。
ハルちゃんの担任の。」
言ってなかったけど、ハルは俺の息子の名前だ。
俺「え?保育園?」
佐々木「はいそうです」
知らなかった。ハルが保育園に行ってたなんて。


俺「保育園が何で俺に電話してくんの?」

佐々木「あのー、ハルちゃんのお父さんで間違いありませんよね?」
俺「あー…はい。で何で俺に連絡してくんの?」
佐々木「いつもお母さんがお迎えに来られるんですが、今日はまだ来られないんです。」


俺「はい。。。

で?」
佐々木「延長の場合は事前に連絡をもらうようになってまして。
本日はお母さんからまだ連絡はありません。
園も8時には閉めますので、どうかお父さん迎えにきて頂けますか?」
嫁には何度も連絡したらしい。
で繋がらないから、緊急連絡先の俺に連絡があったわけだ。


クズに悲しみが訪れる予感


渋々だが迎えにいくことにした。

なんて無責任で親の自覚がねーなんて思われても仕方がない。
読んでて不快な気分になった方は許してくれ。
そして続けさせてもらう。


その態度ほんとクズだな


こーゆー人間はどうやったら出来上がるのか


教えてもらった保育園の場所に着いた。

門の前には電話をくれた佐々木先生と、息子のハルが手を繋いで立っていた。
佐々木「ハルちゃんのお父さんですか?」
俺「あっ…はい、そうです」
佐々木「初めましてw佐々木と申します。
ハルちゃん泣かずにお利口に待ってましたよーw」
ニコッと微笑む佐々木先生をチラ見し、久しぶりに会う息子の顔を覗きこんだ。


ポカーンと口を開けて俺を見上げていた。

まあ誰だけ分かってないのかもしれん。
佐々木「帰ったら沢山誉めてあげて下さいねw
ほらハルちゃんパパだよw」
ハル「‥‥」
佐々木「きっといつもお母さんが迎えに来てるから恥ずかしがってるんですよw」
と言いハルの手を俺に預けた。


佐々木「お母さんと連絡とれました?」

俺「あの、いや。」
佐々木「そうですか?
お母さんの職場に連絡したら4時で帰ったって言ってたんで、きっとお家にいますよw」
俺「はー。。。
あの、迎えにくるの遅くなってすみませんでした。」
佐々木「いいえw
良かったねハルちゃん、パパ迎えにきてくれてw
バイバーイ」
そう言って先生は園内に戻った。
ハルを見ると、まだポカーンと口を開けたままだ。


俺「はー。だりーな」

溜め息をつき、頭をボリボリかいた。
俺「なーハル?帰るか?」
ハルは何も言わなかった。
いきなり知らない人が来たんだ。無理もない話。何しろ半年ぶりの再会なんだからな。分かるはずもない。
俺はハルの手を引っ張り、嫁のアパートまで行った。
久しぶりの帰宅。
綺麗に片付いた部屋にはサリナ(嫁)の姿はなかった。


帰るなりハルは冷蔵庫に一直線。

冷蔵庫を開けて俺を見た。
俺「何?」
ハルは俺の元に戻って手を引っ張った。
冷蔵庫まで連れてくると、パックのジュースに俺の手を誘導する。
俺「喉乾いた?」
ハル「ちめたいー。ちめたいーの」
と言って俺の手を引っ張る。


どうやら喉が乾いたようだ。

俺はパックのジュースをコップに注いで、ハルに渡した。
ハルは一気にジュースを飲み干すと、また俺の手を冷蔵庫の中に誘導した。
俺「何?今ジュース飲んだろ?」
ハル「ビャアアアンー。うえーんっ」
急に大声で泣き出す。


俺「はあ?何だよ?いきなり泣くな。」

泣き続けるハル。
うるさいので抱きかかえてヨシヨシしてみる。
とりあえず泣き止まさないと近所迷惑だ。
俺「ほらほら。どうした?泣くなよー」
ハル「ウギャーー」
いっそう声のボリュームが上がる。
駄目だわこれわ。


俺「うるせー。

びーびー泣くな。」
怒鳴る俺にビックリしたのか、急に泣き止んだ。
少し震えている。
なんだか悪い事した気分だ。


嫁どこいったんや


俺「落ちつけ。何が言いたいんだよ。泣いてもわかんねーだろ」

ハル「ヒクッ、、ヒクッ、、マンマー、、ヒクッ」
どうやらお腹が減っているようだ。
少し震えながら、冷蔵庫を指差した。


子供が何才かで大分かわるよな。

すこし喋れるから1才半とかか、、、。


冷蔵庫の中を覗いたが、すぐに食べれるような物はない。

もちろん料理なんてしたことないし、作れるはずもない。
あれこれ荒らしまくって、ようやく食器棚の中にカップラーメンを見つけた。
カップラーメンに湯を注いでハルの前に出した。


ハル「キャッ、キャッ」

少しはしゃいで飛び跳ねるハル。やっぱり腹が減ってたようだ。
俺「さー食え。」
そう言うとハルはまた俺の手を掴んで、箸をを掴ませた。
どうやら食わせろってことなんだろう。


俺「はいはい。

じゃあ食わしてやりますよ」
そう言ってラーメンをハルの口もとに持っていった。
ハル「ぎゃあああー」
泣き出すハル。
熱かったみたいだ。
仕方なくふーふーして食わしてあげた。
ハル「んまー。んまー。」
人の苦労も知らず、無邪気に喜ぶハル。
俺「母ちゃん帰ってくるまでの辛抱か。。。」
独り言を言いながら、携帯でサリナに電話をした。
ずっと電源を切っているようだ。


俺「くそが。

どうせ男の家でも行ってんだろーが。
子供ほっぽらかしてんじゃねー」
まあ俺が良く言えたもんだって話しだけど。
ハル「マンマー。マンマー。」
食べ終えたのにまただ。
俺「はあ?今食ったろ?
ふざけんな」


ハル「マンマー。マンマー。。。うえーんっ」

また泣き出した。
仕方がないとりあえずなだめるか。
俺は抱きかかえて身体を揺らした。
どれくらい時間がたったろう。
ようやくハルは目を閉じて、深い眠りについた。


ママのことかな?


疲れた。

非常に疲れた。
くそー。何で俺がこんな目に。
そう思いながら、冷蔵庫からビールを取り出し、一気に飲み干した。
俺「ぷはーっ、うんめー」
一息ついて家を見渡した。
出ていって半年になる。
あの時のまま何も変わらない部屋。


ハルとサリナが笑顔で写る写真が、テレビの横に飾ってあった。

布団でスヤスヤ眠るハルの寝顔を見つめた。
少し成長した。
顔も前より大人になった。サリナに良く似てる。
そう言えばハルの声初めて聞いたな。
会話は出来ないけどな。
半年前は、って言っても殆ど家に帰ってないけど、泣いてる声しか聞いたことなかったな。


それが、ハルと俺の最初の1日だった。

とりあえず父親何て俺には無理だと思った。
すぐにサリナは帰ってくるだろうし、帰ってきたらまた出ていけばいい。
いっそのこと離婚しとくかなんて考えてた。


身体にどしっと強い衝撃と共に目が覚めた。

どうやらいつの間にか寝ていたみたいだ。
ハルが俺のお腹に跨がり笑顔で冷蔵庫を指差した。
ハル「ちめたい。ちめたい」
俺「ん?」
ハル「ジューチュ。ジューチュ」


俺「ジュース?はいはい」

冷蔵庫からカルピスを出してハルに飲ませた。
時計を見ると11時。
うわっ昼じゃん。
携帯を見ると着歴が3件に留守歴が一件。どれも昨日かかってきた保育園からだ。
サリナに電話したが、やはり電源を切っている。


プルルルルッ。

不意の電話に驚いた。保育園からだ。
俺「はい?」
佐々木「○○保育園の佐々木です。
あのーお母さんは?」
俺「あの、、、」
少し考えた。
帰ってきてないなんて言えるはずもなく。
俺「あの。突然なんですが、実家に帰省しました。母親が入院したらしくて」
とりあえず嘘をつく俺。


佐々木「そうですか?

お父さんは連絡ついてるんですね?良かったw
じゃあお父さんもハルちゃんも一緒に実家に?」
俺「いや、あの、妻だけ帰りました。」
佐々木「そうなんですねw
ハルちゃんは今日はお休みですか?」
俺「いや、あの。。。」


急いで着替えさせ、抱きかかえて家を出て走った。

俺「すいません」
佐々木「いいえw
出来れば休むにしろ、遅刻にしろ前もって連絡下さいねw」
俺「はい。」
結局保育園に連れてきたのだ。
佐々木「お迎えは5時なので、ちゃんと迎えに来て下さいw」


俺「はい」

そう言って保育園を後にした。
ふざけんな。
冗談じゃない俺が迎えに行くわけねーだろ。
何が何でもサリナを見つけ出してやる。
そう考えながら、まずはサリナの職場に連絡した。
地元のスーパーでレジのパートをしていると保育園で聞いた。


偉いなー、奥さん、なんかもうフラグびんびんでいやだけど


どうやら職場にはいないみたいだ。

店長「いや今日はお休みで朝電話がありましたよ。」
俺「次いつ来ます?」
店長「さー。当分休むって連絡あったからねー。」
そう言われ知り合い何人かにも連絡を入れてみた。


サリナのキャバクラ時代のツレや、地元のツレ。

結局誰もサリナの近況すら知らなかった。
後はサリナの実家しかない。
でも、ここだけは連絡したくなかった。
だけど背に腹は変えられない。
仕方なく電話した。


サリナ母「ハルト君?

サリナ知らないわよ。
どうして?」
俺「連絡つかなくって困ってて」
サリナ母「えー?
あんた甲斐性なしだからよ。出てって当然。
ハルちゃんは?
ハルちゃんはどうしてるの?ハルちゃんはサリナと一緒なの?」
サリナの母親は当然のごとく俺を良く思っていない。
どうやら知らないようだ。
何か話しているようだが、途中で電話を切った。


ようやく理解した。

あいつはもう戻ってこないのだと。
しかし何て薄情なやつだ。息子を捨てて消えるなんて。
俺がそんなこと言えたもんじゃないことは重々承知だが。
結局ハルは俺が迎えに行った。
またアパートに帰り。スーパーで買ったオムライスを食わせ寝かせた。


今日はあまり泣かなかったが、疲れた。

子育てって大変だなって、たかが1日2日で思ったんだ。
世の中の主婦をすごく尊敬するよ。
全然会話も出来ない息子。
これからどうすればいいのだろう。
いきなり取り残され、いきなり父親になる。
本当に大丈夫なんだろうか?
ハルの寝顔を見た。
寝る前に少し泣いていたから、涙の後が頬に残っている。


おもしろい


中卒ってウソだろww普通に読みやすいぞ


無理もない。

いつも一緒だった母親がいないんだ。
寂しいだろーな。
サリナがどんな気持ちで出ていったのか、その時の俺は知る由もなかった。
そっとハルの体に布団を掛ける。
ハルが生まれてすぐ、ハルは集中治療室に入った。
ミルクを飲まず、血便が出たからだ。
その弱々しい小さな体を見つめ。
石ころのような、小さな手を握り
俺「俺が守ってやるからな」
寝ているハルの手を優しく握り、そう誓ったのを思い出した。


いいやつにも見えるしクズにも見えるし、わけわからん


どうしようもないクズでバカげてるけど、こんな情けない男でも父親なんだ。

ハルの寝顔があまりにも可愛いく思えた。
こいつには今俺しかいないんだ。
俺が守ってあげないと。
出来ないかもしれない。いや出来ないじゃない。やるしかないんだ。父親を。
俺にも父親がいた。自慢できるような父親じゃなかったけど。でも俺を育ててくれたんだよな。
今でもそんな父親の背中を覚えている。
その日から、俺とハルの二人三脚の生活が始まった。


はじまっちゃまずいのがはじまちゃった。


色々レスありがとう。

出来る限りは返事するけど、スルーは許してくれ。
ちなみにリアル中卒だ。
書きため分はまた後で投下します。


面白いね


すごい憎い内容なんだけど、なんだろう憎めない


遅くなった。

映画見てたんだ。返却が明日までだから。
続きです。
朝の日差しで目を覚ますと、横ではハルがぐっすり眠っている。
とりあえず父親になると決めた。
まずは保育園に行って佐々木先生に、サリナが出ていったことを話そう。
それから仕事を探さないと。俺一人なら食っていけるけど、今はハルを育てなきゃいけないんだ。
サリナがいつ戻ってくるのか?もう戻ってこないかもしれない。誰かをあてにすることなんでできないんだ。


担任の佐々木先生には、サリナが家を出たことを告げた。

佐々木「これから大変でしょうけど、
私たち園も出来る限りハルちゃんの力になります。」
と言われ少し安心した。
その足で職安に行くことにした。


職員「松井さん(俺の名字仮です)。

正直難しいですよ。今不景気ですしね。職歴も殆どないですし、学歴も中学卒業じゃね。
資格もないと言うことですし…
それに子供を一人で育ててる訳でしょ?会社の負担になりかねませんよ。」
俺「お願いします。どんな仕事でもするんで。」
正直仕事をしないとやばい。
手持ちも殆どなく、明日にもハルを食わせられなくなるかもしれないからだ。


結局その日は登録のみで、紹介すらしてもらえなかった。

とりあえず携帯やら、求人のフリーペーパーでバイトを探してみる。
アパートから近目の場所に手あたり次第電話をした。
あっさり面接を4件こぎつけた。楽勝じゃん。でもそう簡単ではなかった。


店長「どうしてうちで働こうと思ったの?」

某有名フランチャイズレストランに面接に来た。
俺「いや、とりあえず金がほしくて。」
この時の俺は、本当に社会人としてのスキルが皆無だったんだよ。
店長「履歴書君が書いたの?」
俺「そうですけど…」
店長「漢字間違ってるし、字下手だね?w
それに君、職歴が空欄だけど仕事したことないの?」


俺「したことないわけじゃないんすけど、

最近はずっとプーだったんで」
店長「ハハw
ちょっとうちじゃ難しいかなw」
こんな感じで断られた。
まあこう言われる方がまだましだ。
何も質問されず、後日連絡すると言われて追い返される事の方が多かった。


一週間がたったけど、まだ仕事は見つからなかった。

ハルとの生活だけど、ハルは泣いてばかりだった。
会話が出来ないから、ハルとの意思疎通が出来ない。だからイライラが募る。
俺は怒鳴ってばっかりだ。
ほとほと疲れた。
仕事も見つからない。お金ももう残っていない。
頭を抱えるしかなかった。
どうすればいいんだ。これからちゃんとやっていけるのか。
そんな不安に追い討ちをかけるように嵐はやってくる。


この段階で子供を殺す親も多いんだよな


ピンポーン。

チャイムが鳴った。
こんな朝早くに何だ。
時間はまだ7時前。
またチャイムが鳴る。
ドンドンッドンドンッ。
激しく玄関を叩いている。
その音にハルが反応して目を覚ました。
ハル「あーーんっ」
うるせーなっと思いながら、泣くハルを抱きかかえて玄関を開けた。


「松井さん?

大家ですけど。」
ぽっちゃりしたキツい目をしたおばちゃんが、ズカズカと家の中に入ってきた。
俺「朝っぱらから何なんすか?」
大家「何度も電話したのにでないからよ。
わざわざこっちが来てやったわよ。
奥さんはいないの?」
鼻息を荒くし、強い口調で話す大家さん。
大家さんが言うには、3ヵ月家賃を滞納しているらしい。


大家「どうなってんのよ?

今月まとめて払えなかったら、出ていくように言ってあったでしょ!」
財布の中身は600円だったのを思い出した。
俺「いや、すんません。俺知らなかって。
何とかするんで一週間待ってもらえませんか?」


大家「駄目よ。賃貸契約の時点で、2ヶ月滞納したら強制退去って書いてあったでしょうが。

ただでさえもう1ヶ月待ってやってんだ。
もう特別はなしだからね。」
俺「いや、行くあてなんてないんですよ。
一週間。いや3日でいいんで待って下さいよ。」
泣き叫ぶハルを抱えながら、必死に交渉した。
だけど交渉虚しく、解約にサインさせられ追い出されるはめになった。


手持ちは600円。

ハルの着替えを入れたリュックに、サリナとハルの写真。
後は全て家賃滞納分にあてると言うことで置いていくことに。
悲惨だ。
父親になると決めたのにこんな事になるなんて。
あー笑ってやってほしい。
まさかのホームレス状態。家なき親子だ。
救いようのないとはこのことだ。


リアルならキツイ状況やな‥


若い時の勉学は大事だよな


いつもの時間に保育園にはハルを連れて行った。

俺「今日もハルをよろしくお願いします」
覇気のない声でお願いした。
重い足取りで園を出ようとした。


佐々木「ハルちゃんのお父さん大丈夫ですか?」

振り返ると佐々木先生が園内を掃除していた。
俺「はぁ…まあ」
佐々木「今日は元気ないですね?
お母さんとはまだ連絡とれませんか?」
俺「はい…」
まあ元気はいつもないんだが。
やっぱこう言う仕事してる人って、異変とかすぐ気付くんだな。


佐々木「元気だしてくださいw

ハルちゃんにはお父さんしかいないんですよ。
元気ない姿って子供はすぐ気付くから。
特にこれからが成長期です。お父さんの背中はちゃんと子供は見てますよ。
何か悩み事があるなら相談して下さいwお父さんの悩みはハルちゃんの悩みですよ。」
俺「はい…」
先生には家を追い出されたことを相談するか悩んだ。
だけど他人にこんな話しされるなんてあまりにも気の毒だ。


黙って園を出て公園のベンチに腰を下ろした。

俺「はあー」
ため息しか出てこない。
仕事を探すのに困難しているのに、住むところまで探さなきゃならない。
絶望的だ。


住み込みのバイトなんかも探しては見た。でも子供連れじゃあ話しにならんだろ。

時間だけが刻一刻と過ぎていく。
直ぐにハルの迎えの時間はやってきた。


ハルの手を引っ張りただただ街を徘徊する。

そうだ、クラブでナンパした女の家に泊めてもらおう。
1日くらい大丈夫だろ。そんな軽い気持ちで向かってはみたものの。
女「はあ?
無理無理。
あんた子持ちなの?最低。」
俺「頼むよ。
1日でいいからさ」
女「いやよ」
「誰か来たのかー?」
部屋の中から男の声がした。
女「分かったでしょ?
さっさとどっか行ってよ」
そんな感じで追い返されたんだ。


たいへんだねぇ


まあこんなのあてにした俺がバカなんだけど。

数人のツレにも電話したけどなんなく断られる。
辺りはもう真っ暗だ。
路頭に迷う俺とハル。
世間が妙に冷たく感じた。
ハルも疲れたのか。
両手を俺に向け。
ハル「ダットー。ダットー。」
と言う。


とりあえず寝る場所を探さないと。

俺はハルを抱っこし、大きなリュックを背負った。
ようやく繁華街にある広場の階段に腰を下ろした。
せめて明るい場所の方が、ハルも落ち着けるだろうと思ったからだ。
ただボーっと座っていたんだ。正直今何も考えられない状況。


「すいませんが、ここに座らないでもらえますか?」

警備員服を来た初老の男に注意された。
ここに座られては、客が入らないと言うことらしい。
俺「ここはおめーの土地か?」
いつもならつかかって行くとこだが、今そんな元気もない。
俺は黙ってまた歩き出した。


コンビニでお茶とおにぎりを買って、朝来た公園までやって来た。

ハルは俺から降りて喜んで走り回っていた。
状況を理解できる年齢じゃないから当然だ。公園に遊びに来たとでも思っているんだろう。むしろそっちの方がありがたいか。何も考えてない方が。


遊び疲れたのか、汗だくで少しグズったのでおにぎりを食べさせた。

風呂に入れないので、公園の蛇口で水を借りた。
タオルで体を拭いてあげると、冷たくて気持ちいいのかすごく嬉しそうだ。
目を擦って眠たそうにしてる。
俺はハルを抱っこして、大きな滑り台の下がトンネルみたいになっていたのでそこに入った。


夏も終わりかけ、少し肌寒くなってきたな。

月明かりがトンネルの中まで入ってきている。
ハルを横向に抱え座り込む。
ハルは俺を見つめ、宇宙人みたいにわけの分からない言葉を話している。
きっと俺に話しかけてるんだろう。


市役所(区役所)いって相談しろよort


虚しくなる。

寂しさも込み上げてきた。何でだろうか
?こんな気持ちも、きっとハルと会話が出来ればましだったんだろうか?
俺は一人なんだと痛感する。
そう思いながらハルの言葉に耳を傾けていた。


ハル「パッパ?」

え?聞き違いか?
ハル「パッパ」
今度は俺を指差して言った。
俺「パパ?
今パパって言ったか?
うんパパ。」
急に何かが込み上げてきた。


ハルはニッコリ微笑んで

ハル「パッパーw」
俺「うんうん。
パパ。パパだよw」
俺のことを初めてパパって言ってくれたんだ。
ハルをギュッと強く抱きしめた。
苦しそうにしていたけど、そんなのお構いなしだ。
俺の瞳からは溢れんばかりに涙がこぼれた。


俺「ごめんなー。

本当ごめんなー。」
俺は大泣きしながらハルに謝った。
こんな情けない父親で。こんなひもじい想いをさせてることに、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
いつぶりだろうか。いや、こんなに泣いたのは初めてかもしれない。
こんな気持ちになったのわ。
俺は一人じゃなかったんだ。
こんな俺でも父親と思ってくれてるんだな。子供の笑顔ってすごいなって実感させられたよ。


いつの間にかハルは眠っていけど、俺は眠ることができなかった。

眠れる場所じゃないからとかじゃない。
自分の不甲斐なさと今までの腐った自分を思い返してだ。
佐々木先生の言葉が耳に残っていた。
「ちゃんと子供はお父さんの背中を見てますよ」
そうなんだ。
俺もそうだったし。
ハルは俺の背中を見て育つんだ。
もっとしかりしないとダメだ。


この瞬間まで俺は、いつでも人の責任にしてきた。

こうなったのは親のせい、学校のせい、大人のせい。
今だってそうだ。社会や世の中のせい、嫁のせい、いつだってそうなんだ。
自分の否を認めず誰かれ構わず他人に責任を押し付けてきた。
全て自分の責任なのにな。自分がこうしてしまったんだ。
きっとサリナもそんな俺に愛想が尽きたんだな。


ここからが正念場だな

頑張れ。


不覚にも涙腺に来た

こういう親子ものはどうも潤んでしまう


クズでも父親になれるんだな。

羨ましい。


もう泣いてるから


泣いちまったじゃねーか。馬鹿野郎


すいまん。

今から少し投下する。
見てくれてる人結構いてくれてるんだな。
頑張って書きます。
続き
外で朝をむかえたその日、俺はハルを連れて隣町まで2時間かけて歩いていた。
保育園には前もって連絡を入れ休ませた。
唯一の頼りがそこにあったからだ。
死んだ親父の姉貴に会いにいったんだ。俺の叔母にあたる人。
小さい頃の記憶だけが頼りだった。
親父に2、3回連れてこられたことがある。


町の雰囲気はガラッと変わっていたけど、どうにかたどりついた。

リフォームして新しく建て替えられていたけど、表札を見てここで間違いないと思った。
チャイムを鳴らすと、四十歳過ぎのおばさんが出てきた。
おばさん「はい、どちらさまですか?」
俺「あの…、
カズエおばさん(親父の姉貴)はいてますか?
俺っていいます。」
おばさん「えー、あっ、母さーん」
どうやらカズエおばさんの娘のようだ。
おばさんは俺とハルの全身を舐めるように見、家の中に向かって叫んだ。
おばさん「ごめんなさいね。
俺さんってどちらの俺さん。母とはどういった関係?」
無理もない不審者に見られてるんだろう。


答えようとすると、

「はいはい。
どうしたの?お客さん?」
ガリガリのおばあちゃんが中から出てきた。この人がカズエおばさんなのか?
正直顔まで覚えていないから分からない。でもきっとこの人で間違いないだろう。


おばさん「俺さんって方よ。

お母さん知り合い?」
カズエ「俺さん?」
カズエおばさんは俺をジッと見つめた。
カズエ「もしかして、俺父の息子の俺ちゃん?」
長い月日が経っていたが、どうやら俺のことを覚えてくれていたらしい。
俺「はい。。」
目を潤ませながら俺に近づいてきた。
大きくなったねと言われ再会を喜んでくれた。


俺とハルは家の中に通されお茶を出してもらった。

ハルは広い家が初めてだったので、すごく挙動不審だったのを覚えている。


カズエ「わざわざここまで会いにきてくれたの?

ありがとうね。
よくこの家が分かったねw」
カズエおばさんは俺が赤ちゃんの頃、よくオムツを変えてあげたと言っていた。子供の頃の俺や親父の話しを嬉しそうに語ってくれた。


カズエ「ところでいったいまた、どうしたの急に?」

本題はここからだ、今どうしても寝泊まりするところが欲しかった。
ハルをずっと外で寝かすなんて出来ない。
迷惑は重々承知だけど、仕事と住む場所が決まるまでどうにか居候さしてもらえないかと頼んだ。
勿論今日までの経緯を話してだ。


カズエ「そうか、うんうんそれは大変だったね。

いいのよ。おばちゃんに甘えなさい。」
目を真っ赤にし、俺の話しを納得した上で優しく応えてくれた。
少しホッとした。
膝の上に座らせていたハルは、どうやらオネムのようだ。
コクリとコクリと眠りに入ろうとしている。


見てくれてる人ありがとう。

続き
おばさん「ちょっとお母さんいい?」
リビングの扉を少し開けて手招きする娘。
それに気づいてカズエおばさんがリビングから出ていった。
俺は出されたお茶を一気に飲み干した。


ドキドキ…


おばさん「お母さんどう言うことですか?

あの子達を泊めるなんて勝手に決めないで下さい。
うちには受験を控えた娘がいるんですよ。」
隣の部屋から会話がまる聞こえだ。
カズエおばさん「せっかく頼って来てくれたんだよ。」
おばさん「駄目に決まってるでしょ。
どこの誰かも分からないのに。」
カズエおばさん「他人じゃないの。
ヒロシ(息子さん)には私からちゃんと話しておくから。」
おばさん「私には他人です。
私は反対ですから。」


激しく言い合いをしているようだ。

俺は眠っているハルを抱きかかえ、黙っておばさんの家を後にした。
そりゃそうだよな。
無理もない。
いきなり見ず知らずの人間がきて泊めてくれなんて。
他人にそんな優しくする義理なんてないよ。
それに俺のせいで、カズエおばさんに迷惑をかけるわけにはいかないしな。
何故か悲しい気持ちや辛い気持ちにならなかった。
だってさ、久しぶりに会ってハルを見て、あんなにも喜んでくれたんだ。
それだけで十分じゃないか?
夕焼け空が真っ赤に染まる。
ハルをおぶった自分の影お見ながら、二時間かけてきた元の道をゆっくり帰った。


また結局この公園に戻っててしまった。

途中コンビニでおにぎりを一個買って、それをハルに食べさせた。
ハルも大分疲れていたみたいだ。
すぐに眠ってしまった。
財布の中身を見て憂鬱になる。
本当の無一文だ。
下を向き目を閉じて、明日からどうするかを考えた。


ハルは保育園に連れていけばいいだろう。給食とおやつが出るからな。

とりあえず日雇いで働ければ、温かいお風呂にも入れてやれる。お腹一杯ご飯だって食べさせてやれるんだ。
そんなことを考えながらウトウトしていた。
「俺くん?
俺くんだね?」
急に目の前が眩しくなる。
懐中電灯で照らされているんだ。
そこには眼鏡をかけた、中年のおじさんが立っていた。


おじさん「母さんからこの辺りの公園だって聞いたんだ。

だいぶ探したよ。
こんな所で寝たら駄目だ。
小さい子供がいるんだから。
とりあえずうちにおいで」
すぐにカズエおばさんの息子のヒロシおじさんだと分かった。


俺「いや、でも…」

おじさん「いいからおいで。
母さんも心配して待ってるんだよ」
俺「すんません。
迷惑かけます…」
俺とハルを車に乗せてくれ、家まで連れて行ってくれた。
途中車の中で、
妻のことは気にするな。娘が受験前で気がったっているんだ。とわざわざ気を使ってくれた。


おばさんの家につくともう深夜1時前だった。

カズエおばさん「追い返したりしてごめんね。
本当にごめんね。」
と泣きながら謝るおばさんに、申し訳ないことをしたと思った。
ヨシノおばさん(カズエおばさんの娘)
に「お世話になります」とだけ言ったけどシカトされた。
心良く思っていないのは分かっていたことだ。


久しぶりの温かい風呂に、ハルは大はしゃぎだった。

新しい布団が気持ち良かったんだろう。すぐにハルは眠ってしまった。
ヒロシおじさんが、また明日ゆっくり話そうと言って二階の寝室に上がっていった。
俺が眠りにつこうとすると、カズエおばさんにリビングに来るように言われた。


カズエおばさん「残り物しかないけどお食べ」

テーブルに、大きなおにぎり2つとお味噌汁が置いてあった。
俺は黙って座りそれを口にした。
急に胸が締め付けられる。
俺「うまい…」
カズエおばさん「良かったw」


俺はおにぎりにガッツいた。

また泣いてしまったんだよ。
泣きながらおにぎりを頬張った。
口いっぱいに詰め込んで。
俺「おばふぁん…エグッ
あじがと(ありがとう)エグッ…」
カズエおばさんの優しさがすごく辛かった。
こんな俺なんかにここまでしてくれて、すごく感謝したんだ。
人の優しさに感謝したのは初めてかもしれない。


そう言えばこの何日間、殆ど何も口にしていなかったな。

だからかもしれないけど、今まで食べたおにぎりで一番うまかったと思う。
今でも、忘れることはない。
俺って結構泣き虫なんだなw
そう思った。
カズエおばさんは、黙ったまま笑顔で俺が食べているのを見てた。


楽しく読んでるんだけど オムツどうしてたの?


クズだけど父親にちゃんとなってきててワロタw


すまん。

仕事でようやく帰宅できた。
今から休憩中に書いた分は投下します。
後、いろんな意見や指摘ありがとう。
他にも細かい疑問とかあるだろうけど、結構端折るし忘れてることもあります。これから書いて行くこともあるからスルーしててくれると助かる。
ちなみにこの時はオムツはまだ取れてないんだ。
保育園では貸し出しの紙オムツ使ってたし、常備布オムツだったからループ使用してた。
生まれてすぐはしょっちゅう変えてたからうまいもんだったよ。


続き

次の日朝早く起きて、ヨシノさんに何か手伝いすることがあれば何でもすると言った。
が、空気のように無視された。
俺は玄関前やら家の中を勝手に掃除した。
居候の身だし、
何もしないわけにもいかないしな。


目を覚ましたのか、ハルの泣き声が聞こえる。

保育園に連絡して、
理由は言わずに当分休むとだけ伝えた。
ハルはカズエおばさんが見てくれると言うので、頼んで家を出た。
現場作業の面接があったからだ。
おばさんは落ち着くまでは家にいていいと言ったけど、そう言うわけにもいかない。


これ以上迷惑をかけれなかったし、何よりハルを育てる環境を少しでも良くしたかった。

早く住む家を探す必要があったけど、まずは仕事が優先だと考えたんだ。


社長「現場仕事は初めてか?

かなりきつい仕事だけど大丈夫か?」
建設会社の社長が、履歴書をサッと目だけ通して机に置いた。
俺「あ…はい」
社長「いいよ。うちで働いてみな」
俺「えっ、大丈夫なんすか?
俺職歴も学歴もないっすよ」


社長「ハハw

うちはそんなの関係ねーよw
やる気があればそれで十分だw」
どうせ無理だと思っていたのに、あっさり雇ってくれた。
住所不定で職歴のない俺をだ。
ちょっと拍子抜けする俺。
俺「あ、あ、ありがとうございます。
頑張ります」
社長「おう。
いつから働ける?
なんなら今から働くか?」
俺「是非。
お願いします。」
この社長、本当に優しかった。人当たりもいいし。
めちゃくちゃ嬉しかった。久しぶりの労働で少し不安もあったけど。
でも頑張ろうって思ったんだ。


社長の古い作業服を借り、トラックで作業現場まで連れて行ってもらった。

作業員みんなが集められ、簡単な紹介で作業が始まる。
重機で解体した廃材を指定の位置に置き仕分ける。それを運んでトラックに積むと言う作業だ。
肉体労働は始めてで、つってもまともに働くのも久しぶりなんだけどとにかくきつかった。
体中汗でびっしょり、廃材を持つ腕が痺れる。
それでも一生懸命作業した。


みんな強面だったけど、優しく仕事を教えてくれた。

今まで働いていた職場とは全然雰囲気が違い驚いた。
みんな楽しそうに仕事してんだよな。
現場監督「おい新人!休憩するぞー。」
そう言ってミネラルウォーターを渡された。
キンキンに冷えてる。
喉を潤わす為一気にそれを飲み干した。
めちゃくちゃうまかった。
体中に染み渡るのが分かる。
ちょっと前まで汗を流して働くことなんて考えられなかった俺。
こんなに水がうまいと感じたことなんてあっただろうか?


建物の影に腰掛けると、

「兄ちゃん今日からやろ?」
初老のおじさんが関西弁で話しかけてきた。
おじさん「兄ちゃん若いのにw
何でこんな仕事しようと思ったん?
さてはわけありやな?w」
ぶっきらぼうな人だ。
俺「まー、はい。」


山下(おじさん)さんは、初対面の俺に色々話てくれた。

俺も昔は社長だった。だけど倒産して借金かかえて、妻と子供に逃げられたと。
山下「それでもこうやって何とか生きてけてんねんw
オレももうすぐ60やけど、人生やり直しは聞くw
兄ちゃん若いねんからなおさらや。
どんなわけありでも頑張りやw
生きてたらそのうちいいことあるからなw」
笑いながら話している山下さんに何故か好感を持てた。


社長さんいいヤツやな


あっというまに時間は過ぎ、今日の作業が終了した。

疲れた。でも仕事見つかってよかった。
きついけど作業場の人達は良い人そうだしなんとかやっていけそうだ。
社長から日当を日払いで手渡された。
茶封筒には6000円入っていた。途中から働かせてもらったのにな。
思わず「こんなにいいんすか?」って言ってしまったよ。
帰宅までの道のり、疲れているのにいつもより足取りが軽かった。
真っ暗だった道筋に少し光が差したような気分だ。


おばさん家に着くなり、

ハル「キャハッw
あーーーうw」
ハルが大喜びで駆け寄ってきた。
俺は高い高いして、
俺「ただいまw」
て言うと
ハル「たらいまーw」
って満面の笑みで返してきた。
すごく癒されるな。
ハルの笑顔で1日の疲れもぶっ飛ぶ。
明日も頑張ろうって気持ちになった。


カズエおばさん「ハルちゃん、ずっと泣いてたのよー。

キョロキョロして俺ちゃんのことずっと探してたんだと思うわ。
パパ帰ってきて嬉しいねw」
俺「すいません。迷惑かけました。
面接ですぐ働けるか?って言われたんすよ。」
カズエおばさん「そうよかった。
仕事決まって本当に良かったねw」
ヒロシおじさんに呼ばれて、一緒にご飯を食べさせてもらった。


これからのことをどうするか話した。

俺は早く住む家を探すとだけ言った。
俺「あのこれ。」
俺は今日の日当分6000円の茶封筒テーブルに置いた。
俺「本当に少ないっすけど。
とりあえず当面の食費や、迷惑かける分。
また少しでもお金が貯まったら渡します。」
本当は酒や煙草、ハルのお菓子なんかを買ってあげたかった。
でも今はっきりしてるのは、この人達に迷惑かけてることだけだ。


カズエおばさん「何よこれ?

そんなの受け取れないわよ。
ハルちゃんのために使ってあげなさい」
ヒロシおじさん「分かった。
これは受け取る。」
そう言ってお金をポケットにしまった。
ヒロシおじさんは、ちゃんと俺の気持ちを汲み取ってくれたんだ。


それから数日が経ち、俺はなんとか現場仕事を続けてた。

あのクズな俺がだ。
何よりハルの存在が大きかったと思う。どんなにきつい現場作業もハルのことを想い出せば頑張れたんだ。
俺自身、自分の変化に気づきはじめてきた。
ハルが成長するように、俺も少しずつ成長しているのかもしれないって。


育児って、育自でもあるもんな


ヒロシおじさんはクズのいとこになるの?


ヒロシおじさんは従兄弟だな。

でもこの時が初対面だよ。
続き
そんな時だった。
その日は大雨で仕事が中止になり、昼過ぎに帰えることになった。
帰宅すると、
ハル「ギャーーッ!」
リビングからハルの泣き声が聞こえる。
あちゃーまた俺のこと探して泣いてんのか?
なんて思いながら上がりこんだ。
それと同時に、
「うるさーい。
黙れー!」
と大きな怒鳴り声が聞こえた。


なんか嫌な展開


みんなありがとう。

リビングを開けると、ハルが泣きながら座りこみ。ヨシノおばさんが目の前に立っていた。
俺「何してんすか?」
俺はヨシノおばさんを睨みつけて、ハルを抱きかかえた。
俺「どうした?
何で泣いてる?
カズエおばさんは?」
一瞬テンパってハルに質問攻めしてしまった。
ハルは俺にしがみついて、
ハル「パッパー、エグッ。パッパー、ヒック。エーーン」
大泣きしている。
最初は虐待でもされているのかと思ったけど、そうではなかった。


虐待じゃなかったのか、良かったホッとした


うぉ…

よかった


ヨシノおばさん「この子がサキ(ヨシノの娘)の教科書に悪戯したの。

これ見なさいよ。」
ヨシノおばさんがビリビリに破けた、哀れな姿になった教科書を見せてきた。
俺はハルを立たせて、
「本当か?
お前がやったのか?」
強い口調で問いただした。
俺の言葉なんて理解できてるわけないけど、せっかく居候させてもらっているのに何てことしてくれたんだって思った。


俺「駄目だろ?こんなことしてどうすんだ!

迷惑かけんなバカヤロー!」
カッとなって怒りのまま俺はハルを叱った。
ハル「あーーっ!
ギギギギーっ!
いやーーー!」
ハルは泣きながら俺に怒った。
きっと俺が怒っているのを見てテンパったんだろう。
俺「あの、本当にすいません。
教科書は弁償しますから。
本当すいません」
ヨシノおばさん「当たり前でしょ。
それに夜この子の泣き声うるさいのよ。
サキは受験生なの。ちょっとは気をつかいなさいよ。
もぅまったく」


うわー

ハルかわいそう


これは辛いな、幼児は怒りつけても効果無いけど
はそんなのわかんないし、精神的にも余裕ないし怒っちゃうし、怒ったあと後悔しちゃうし負のループだな


俺はただただ謝るしかなかった。

カズエおばさんは体の調子が悪いみたいで横になっていたらしい。
カズエおばさん「ちょっとだけ一人で遊んでもらってたの。
俺ちゃんごめんなさいねー」
俺「俺の方こそいつもハルを見てもらってすいません。」
ハルは呑気に、買って帰った好物のラムネを食べていた。
ハル「ラムネーw。ラムネーw」
機嫌よくしている姿を見て少しイライラした。
本当は分かってるんだ。
この子は何も分からないし知らない。
ただ遊んでいただけなんだよ。きっと。
でも今のこの状況で俺は、お前を叱ることしかできないんだ。


カズエおばさんは70過ぎて体調も良くない。このまま見ててもらって良いものか。

またあんな悪戯をしたらどうしよ?
保育園とは違うんだから。
ハルがしたことは全て俺の責任になるんだ。
やっぱりすぐにでも家を探すべきか。
そう思いながらハルの寝顔を見つめた。俺はグッタリして眠りについた。


てか小さい子が家にいて教科書触れるとこに置いといたやつが悪いでしょ

黙って保育園行かせとけば良かったのに
胸糞過ぎて吐きそう


辛いな


朝になり、

いつも通りハルをカズエおばさんに預けた。
今日のハルはグズっていた。
俺の足にしがみついて離れない。
俺「すぐ帰ってくるからな。
またラムネ買って帰るから」
ハル「ラムネー?
ちょだーい。」
俺はハルに残っていたラムネを渡した。


俺「おりこうにしてるんだぞ。

パパ早く帰るから」
そう言って泣き出すハルを置いて家を出た。
仕事中ハルのことが心配で仕方なかった。
また悪戯してないかってこともあったけど、何よりハルに怒鳴るヨシノおばさんの姿が頭から離れない。
他人に息子を泣かされるなんていい気はしないよな。


ようやく終わって帰ると、

ハルは嬉しそうに俺に抱きついてきた。
どうやら何もなかったようだ。
少しホッとしながらスーパーで買ってきた惣菜を出して、ハルに食べさせた。
すると、
ヨシノおばさん「ちょっと来てくれる?」
とリビングに来るよう言われた。


ひぇー…


ヨシノおばさん「これどうしてくれるの?」

ヨシノおばさんがべっとりとシミのついた服を見せてきた。
俺「どうしてくれるって言うのは?」
ヨシノおばさん「これその子がやったのよ。」
俺はハルを見た。
ハルはヨシノおばさんから顔を背け、俺の胸にうずくまっている。
どうやらハルはこの人が嫌いなようだ。俺も嫌いだ。


俺「うちの子がやったって、見たんですか?」

ヨシノおばさん「見てないわよ。
でもその子以外に誰がこんなことするのよ
あんた達がこの家に来てからろくな事がないの。」
俺「……」
もしそれが本当なら言い返す言葉もない。
どうやら今日もカズエおばさんが体調が悪いから、少しの時間一人で遊ばせていたらしい。
その間葡萄ジュースをハルに持たせていたとのこと。


冤罪の臭いがしてきましたぞ


信じられなかった。

親バカで、ただハルが犯人じゃないと思いたかっただけなのかもしれない。
証拠があるのにだ。
それでも俺はハルが犯人じゃないと言い張った。
エゴかもしれないが、どうしてもハルがそんなことするとは思えなかったんだよ。
結局カズエおばさんが起きてきて、その場は収まった。


ハルを守れるのはクズしかいない!


幼児に葡萄ジュースとかww

やってくださいと言ってるようなもんだよね


1はもうクズじゃないだろw

支援


みんなありがとう。

続き
こんな時って眠れないもんなんだな。
体は仕事で疲れてるんだけどさ。
俺さ小学の時はいじめられてたんだよ。
て言っても悪質なやつじゃないんだけどな。
とりあえずクラス全員から嫌われてた。
家が貧乏で母ちゃんがいなかったから。
親父が爺ちゃんぐらいの年ってこともあったんだと思う。


それである日、クラスの女子が買ってもらったばかりの手提げカバンがなくなったってなった。

校庭のドブで見つかったんだけど、
クラスの奴等は俺を非難したんだ。
「お前んち貧乏だからだろ?」
「最低ー」
みたいな感じで。


誰かが先生にチクって、職員室で説教された。

当然親父も呼び出されたわけだけど。
親父は俺に「お前が本当にやったのか?」
って聞いてきた。
俺「してないよ」
俺の目をしっかり見て、
親父「そんなことうちの息子がやるわけない。
あんたら教師まで疑うのか?
ふざけるな」
っていつも穏やかで温厚な親父が、ムキになって怒りだしたんだ。


だからその時、親父が職員室で暴れて警察が来たことは、本当に自分が生きてて申し訳ないって気持ちになった。

子供ながらにな。
帰り道親父が俺の手を引っ張って言ったんだ。
親父「俺!!
父ちゃんはお前のこと信じてるからな。
父ちゃんは絶対にお前がやってないって分かってるんだ。
あんな恥ずかしい姿見せてごめんな」


そんな親父を見たの初めてだったよ。

正直驚いた。
でも俺は疑われても仕方なかった。
すぐむかついたら、クラスのやつをぶん殴って泣かしてたし。
クラスで買ってたカメを、勝手に池に逃がしたりしたことがあって、それをクラス全員に責められて暴れたこともあった。
本当に問題児だったんだ。


俺「オレ悪いことしてばっかだよ。

みんなに疑われてもしかたないんだ。
何で父ちゃんは俺のこと信じるの?
本当に俺がやってたらどうすんの?」
親父「父親が息子信じなくてどうする!」
いつも強がってた。悪ガキぶって泣いたら負けだと思っていた俺も、さすがに泣いてしまった。
その言葉で十分救われたんだ。
親父は俺の頭をクシャクシャして。


親父「泣きたい時は泣けばい。

悔しいだろうけど、悪くないなら悪くないって言い続けろ。悪いことしたらちゃんと謝れ。」
昔の記憶がよみがえる。
俺は眠るハルの髪をクシャクシャしながら、
父親の俺が息子を信じなくてどうすんだって、独り言を呟いた。
朝がきて、俺はハルをおぶって仕事場に向かった。
ハルを置いて仕事に行くのが不安だったからだ。


アルバイトが会社に子供を連れてくるなんて、前代未聞なのは分かってる。

社長に事情を説明すると、
現場は駄目だから事務に置いていくならいいと言われた。
理解がある人で本当に助かったよ。


事務員さんによろしく言って現場作業に出た。

昼は会社に戻ってハルとコンビニ弁当を食べた。
ハルは嬉しそうに食べてた。
俺もハルのそばにいて安心できた。
お利口にしてたみたいだし。
事務員「この子めちゃくちゃ可愛いね。
将来イケメンだわw」
息子を誉められて悪い気はしないもんだ。
作業が終了すると、社長がみんなでご飯に行こうと誘ってくれたので、その言葉に甘えることにした。


社長行き着けの居酒屋に入り「好きなもん食え」と言われた。

ハルは人が多いせいか少しグズっていた。
社長に酒をすすめられたけど、ハルもいるので断った。
帰宅したのは少し遅い時間になった。
ハルは俺の背中でぐっすり眠っている。
ハルを起こさないよう、静かに家に入る。


リビングに灯りがついていたので、

遅くなりました。とだけ伝え部屋に入った。
ヒロシおじさん「俺くんちょっといいかな?」
戸を少し開けヒロシおじさんが顔を出した。
少し険しい表情に、何かあるなと感じた。


リビングのソファーに腰を掛け対面するも少し沈黙が続いた。

何か言い出しにくそうにしていたので、
俺「あの…昨日はすいません。
奥さんの服汚れちゃったみたいで。」
俺から話しをふった。
ヒロシおじさん「いや…いいんだよ。
そんなこと気にしなくても」
相変わらず気まずい雰囲気だ。


ヒロシおじさんは仕事用の鞄から、パンフレットのようなものを出してテーブルに置いた。

ヒロシおじさん「これなんだけど…」
俺に見やすいように、そばに近づける。
自立支援相談?
サッと目を通した。


俺「すいません。

迷惑かけますがもう少しだけ待って下さい。
すぐ家を探して出ていきますんで。」
思い出したくない過去が脳裏をよぎる。
ヒロシおじさん「いや、そんなつもりで言っているんじゃないよ。
本当に心配なんだ。」
見え見えだ。
早く出ていけ、面倒はごめんだと顔に書いてある。


俺「本当に迷惑かけてすいません…」

部屋に戻って先程のパンフレットをもう一度見た。
少し手が震えている。
俺にはトラウマがあった。


俺がガキの頃、

親父が現場仕事で大怪我をした。
入院した親父と俺に残されたのは借金だけだ。
勿論家賃が払えず今にも追い出されそうな勢い。
毎日借金取りが家に来ていたのは言うまでもない。


一人家で留守番状態の俺は、布団を被り嵐(借金取り)が過ぎ去るのをずっと待っていた。

そしてとうとう奴等が来た。
児童相談所の職員だ。
俺はすぐ養護施設に入れられた。
親父が迎えに来るまでの1年間すごく辛かったのを覚えている。
当時6歳だった。


あの日ハルを保育園に迎えに行った俺なら、迷わず施設に入れていかもしれない。

育てていく自信なんてなかったからな。
でも今は違うんだ。
父親になるって決意した。
何があってもこいつを守るって決めた。
それはもう揺るがないものになってる。
短い時間だけど、ハルと過ごして沢山何かをもらった。
何かを感じた。
今ハルは、俺にとって掛け替えのない宝物なんだ。
どんなことがあっても手放さない。
どんなことがあっても。。。
俺はパンフレットを丸めてゴミ箱に捨てた。


次の日、

同じようにハルを連れて仕事に出た。
お金は少しはできたけど十分とは言えない。
とりあえず働かなきゃな。
作業中何度も携帯が鳴った。
気になったので不在着信を確認。
カズエおばさんからだ。
俺はすぐに電話をかけ直した。


俺「もしもしおばさん。

どうした?」
「あの…
私サキです」
電話に出たのはヒロシおじさんの娘のサキだ。
俺「どうしたんすか?」
サキとは家で顔合わすだけで話したことはなかった。
サキ「おばあちゃん昨日入院したんですけど…」
昨日は遅く帰ったし、ヒロシおじさんから何も言われてないので知らなかった。
サキ「おばあちゃんが俺さんに会いたいって。
今から病院にこれますか?」


電話を切ると、社長に理由を話し少しの時間抜けさせてもらうように頼んだ。

俺はハルを連れ病院に向かった。
病室に入ると、カズエおばさんと横にはサキが座っている。
俺が会釈すると、
サキ「ハルちゃん。
私が見てます。」
と言ってハルの手を引き病室を出ていった。


俺「おばさん大丈夫?」

カズエおばさん「大丈夫よw
ただどうも胸が苦しくてねw」
カズエおばさんは思っていたより元気そうだった。
カズエおばさん「わざわざ呼び出してごめんねw
当分家には帰れそうにないんだ。」
俺「うん」


切ない


カズエおばさん「サキちゃんいい子でしょ?

昔からおばあちゃん子でねw
お見舞いにきてくれるのはあの子だけよ。」
今日電話で話したのが初めてなんだが、想像してたのとは違ったのは確かだ。
世間話を簡単に済ます。


カズエおばさん「ごめんなさいね。

私のせいでハルちゃんに辛い想いさせて。
俺ちゃんにも心配させた。
どうしても謝りたかったの。」
カズエおばさんは涙を流しながら俺に謝ってきた。
俺に謝ることなんて何一つないのにだ。
とてつもない迷惑かけてる、本当は俺の方が謝らないといけない。


俺「おばさん。

俺のことは心配しなくていいから。
早く元気になってよ。」
おばさんがありがとうと言いながら枕元から封筒を出した。
カズエおばさん「これ使って。
これで家を借りてハルちゃんと二人で暮らしなさい。
今の状態では何もしてあげられないからね。」
そう言って現金の入った封筒を俺に渡した。
中味は確認してないけど、かなりの金額だった。
俺「おばさんありがとう。
でも俺大丈夫だからw
もう家も見つけたよ。
おばさんのおかげでハルとやっていけそうだ。
だからこれはいらないよ。」
俺はその封筒をおばさんに返した。


嘘をついたけどこれで良かったんだ。

本当に助けてもらってばかりだ。
気持ちだけで十分。胸がいっぱいになった。
これ以上何かしてもらうなんて罰が当たると思った。
病室を出てサキからハルを預かった。
俺「迷惑かけたっすね」
サキ「ハルちゃん本当に可愛いw
弟にしたいw」
俺「ありがとう」


強がるなよぉ‥


そう言って帰ろうとすると、

サキ「あの、すいません。
母がごめんなさい」
と言ってきた。
サキ「ハルちゃん悪戯なんてしてませんから。
私知ってるんです。教科書も服も母が自分でやったんです。
本当にごめんなさい。」
教科書は部屋に置いていて、ハルが手に届くはずがない。
服もヨシノおばさんのお気に入りだったらしい。そんなものをハルが悪戯できるような場所に置いているはずがにいと言うことだった。


俺「はい。

こっちも。
受験で大変な時期に迷惑かけて。」
そう言って病院を出た。
何故ヨシノおばさんがそんなことするのか理解に苦しんだ。
まあ俺とハルが邪魔で仕方なかったんだろう。
俺の腹は今にも煮えくり返りそうだった。
俺はその脚でカズエおばさんの家に向かった。
黙って家に入り荷物をまとめた。


ヨシノおばさんがリビングにいるのが見えたので、勢い良く扉を開いた。

おばさんはびっくりした顔でこちらを見ている。
俺「お世話になりました。
もう出て行くので。
ヒロシおじさんにもお伝え下さい」
強い口調で言って深々と頭を下げた。


ヨシノおばさん「えっ?あ?

そうなの。
愛想なくてごめんなさいね。
何もしてあげられなかったけど元気でね。」
白々しいやつだ。
俺「もし…
もしこれから外であんたと出会って、もしハルが悲しむようなことがあったら。
何が何でも絶対に許さないっすから。」
と捨て台詞を吐いて家を飛び出した。
その時の俺どんな顔してたんだろうな。
相当怒ってたし恐かったと思う。


これは高性能クズだわ


いつの間にかあの時の公園に来ていた。

辺りは暗がり始めてる。
ハルは公園に入るなりハシャいで滑り台を滑り始めた。
その姿を目で追いながら茫然として立ち尽くしていた。
針でチクチク刺さるように胸が痛くて苦しくなった。
病気とかじゃなくてな。
何でかって?
それはハルを少しでも疑ったからだ。
すぐに信じてやらなかった。
本当はヨシノおばさんが悪いとかじゃないんだ。文句垂れられながらも住まわせてくれていたんだし。
ただの八つ当たりじゃないか。


何よりも悪いのは、父親である俺がハルを信じなかったことだ。

俺はハルを怒りのまま怒鳴ってしまった。ハルは怒ってたけど、あの時ハルは本当に俺に怒っていたのかもしれない。
何で信じてくれないのって。
俺は本当にグズだよな。ハルごめん。本当にごめん。
自分の不甲斐なさに嫌気がさす。
砂場で遊ぶハルに詰め寄り強く抱きしめた。
今にも涙がこぼれ落ちそうだったけど、グッと我慢してこらえた。
ハル「パッパーもうイタいー?」
俺「痛くないよ。
悲しいだけ」
ハル「いたくないにょー?」
俺「うんうん」
ハルはまた嬉しそうに滑り台によじ登った。


ハルくん‥

かわええなぁ


君の事を思ってくれてる人の言う事はちゃんと聞いたほうがいいよ支援


今日は少しで申し訳ないが書きます

続き
携帯のバイブで仕事を途中で抜け出していたのを思い出した。
しまった。
やはり社長からだ。
俺「すいません。
連絡せずサボっちゃいました。」
クビになることは間違いない。社会人失格だよな。


社長「おい俺!

心配したぞ。
何やってたんだ?」
俺は社長に今日の出来事を全て話した。
社長に今すぐ会社に来るよう言われた。
会社にはもう社長以外誰もいない。
当然なんだが。
ソファーに恐い顔で座る社長。


俺「本当にすいません。

申し訳ありませんでした」
怒られても仕方ない状況。
謝るしかない。
せっかく雇ってもらったのに、いい加減な自分を呪った。
社長「おい俺?
飯食ったか?」
俺「いやまだ。」
社長「よし。
なら飯行くぞ」
何も言ってこなかったが、この状況と社長の太い声がマッチして妙に凄みを感じた。
そして俺とハルは社長に連れられ定食屋に入った。


最近は不景気だとか、奥さんがうるさくてかなわないって話を社長は淡々としてきた。

まるで何もなかったように、
仕事をサボった事には何もふれてこなかった。
その時は変に緊張したよ。
俺「すいません。
やっぱり俺クビですよね?」
社長「ん?
バカか。
クビにはしねーよ。
さっさと食って行くぞ。」
俺「はい…」
クビにならないと聞いて少し安心した。
ハルにご飯を食べさせて店を出た。


みんなありがとうな。感謝。

続き
社長に車に乗るよう言われたので車に乗った。
社長は何も話さない。
車内は無音で、シーシーと社長が口に入れた爪楊枝の音だけが聞こえた。
ハルはウトウトしている。
俺「あの…どこ行くんすか?」
口を開かない社長に、黙ってついていくことにした。


車が来たことないアパートの前に停まると、付いて来るように言われた。

そのアパートの一室を開けると、
社長「ここ使え」
と社長が言ったんだ。
俺「どう言うことっすか?」
社長「ここわ俺が嫁と喧嘩した時に使う別宅だ。
お前に貸してやる。」


最初は社長の言葉を理解出来ず、いまいち状況が掴めなかった。

でもそう言うことなんだ。
俺は社長の親切に思わず泣いてしまった。
俺「クッ…
本当にいいんすか…?」
社長「あーいいよ。
家具も使っていい。
その代わり家賃はもらうぞ。」


俺「すいません…エグッ

本当に…ありがとうございます…エグッ」
本当に嬉しかったんだ。
やっと住む家が出来たってこともなんだけど、何より社長の優しさが痛い程伝わった。
社長「バカ野郎。
大の男が泣くな。
そんな泣き虫で子供なんて育てられねーぞ」
俺「はい…エグッ」


俺「何で他人の俺なんかに…ここまでしてくれるんすか…?」

だってそうだろ?
まだ一月も働いてないバイトなんだぞ俺は。
信じられなかった。


社長「アホ。

他人じゃねーだろ?
お前はうちの従業員だ。
お前は若いのに根性もあるしよ。俺は買ってるんだよ。
それに、一緒に汗かいて一緒に飯食ってんだろ?
もう俺の家族みたいなもんなんだから面倒みてやるのは当たり前じゃねーか。
それと礼なら山下に言え。
あいつお前のことも、お前のガキのことも心配してたからな。
クビにしないでくれーって頼んできやがってよw
最初からクビにするつもりもなかったけどなw」


何から何までお世話してもらった。

せっかくもう泣かないって決めてたのにな。
社長に礼はいらないから仕事で返せと言われ、明日はゆっくりしろと言われ1日休みをもらった。


「礼なら○○に言え」とか人生で一度は言ってみてえww


俺は今まで大人が嫌いだった。まあ俺も大人なんだけどな。

信用できるやつもいなかったし、他人からこんなに優しくされたことなんてなかった。
佐々木先生やカズエおばさん。社長や山下さん、みんなが俺なんかに優しくしてくれる。
今まで人生を損して生きてきたんだなって思った。
この人達は見返りも求めずに俺に優しくしてくれた。
本当に信用できる人達だ。出会えたことに感謝したい。
グズな俺は、こう言う人達との出会いのおかげで、少しずつ成長できたんだと今は思う。


俺は一人で生きていけるなんてずっと強がってたんだよ。

でもそうじゃないって分かった。
まわりに助けられ、支えられ、こうやって生きていけてるんだと気付かされた。
それとハル。
ハルが何よりも俺を強く支えてくれてるんだって思うんだ。
もう一人じゃない。
ハルの存在は大きい。
こいつがいるんだから生きていける。
そう思った。
少しボロでワンルームの小さな部屋だったけど、俺とハルには十分すぎる部屋だった。


翌日、俺とハルは電車に乗って買い物に行った。

天気も良く朝からハルは上機嫌だ。
ハル「でんさー?」
俺「うん電車。
次のに乗ろうな」
ハル「でんさーのるーwキャッキャッ」
楽しそうにするハルを見て少し幸せな気分になった。


生活用品を買おうと色々見ていると、いつの間にかハルが何かを抱きかかえて歩いていた。

俺「どうしたそれ??」
ハル「でんさー?」
どこで見つけたのか、ハルはおもちゃを持っているようだ。でも、電車のおもちゃと思ってバスのおもちゃを間違って持っているようだ。
俺「それバスだw」
ハル「ばすー?」
俺「うん。電車はこっちな?」
と言っておもちゃ売り場にある電車のおもちゃを見せた。


ハル「いやーー」

大きな声。
どうやら電車より大きなバスのおもちゃを気に入ったみたいだ。
そう言えばハルにおもちゃなんて買ってやったことないな。
普通の父親らしいこともしてあげたことない。
そのバスのおもちゃを買ってあげることにした。


帰りの電車、ずっとバスのおもちゃを大事そうに抱えるハル。

ハル「でんさーw
でんさーwフンフンフンフン♪」
家に帰る前公園の砂場で一緒に遊んだ。
山作ったり、穴掘ったり。ハルはバス走らせたりして。
でんさーのるーwキャハ」
まだバスを電車だと思ってるんだ。
その笑顔がたまらなく愛おしかった。


楽しいひとときにホッとするぜ


なんだかこうやって、何も考えず二人でゆっくりしたのは初めてかもしれない。

満たされた気持ちになった。
俺もハルも泥だらけだ。
俺「ハル?風呂行くか?」
ハル「おぷろいやー」
ちょっと怒るハル。
部屋に風呂がなかったので、ハルと近くの銭湯に行った。
ハルはすごく風呂嫌いなんだけど、初めての銭湯にはしゃいでた。


二人で一つの布団に横になる。

ハルは今日買ったバスをしっかり抱いて寝てた。
遊び疲れたんだろう。
穏やかな寝顔だ。
初めて買ってあげたおもちゃ。相当気に入ったみたいで俺も嬉しかった。
ここはもう俺とハルの家なんだ。
ようやく落ち着けたことに安堵した。
これからは少しずつだけど、家庭らしい家庭を作ってやろう。ハルのために。


一安心した


今日まで色んな出来事があった。

何度も挫けそうだったけど、ハルの存在がいつも俺を助けてくれた。
なんとかやってこれたんだな。これ以上下はないだろうってくらいの底辺を味わったけど、
でももう大丈夫だ。
そうだよな?
俺は自分に言い聞かせるようにして目を閉じた。
こんな小さなことが、こんなに幸せに思えるなんてな。
ずっとこの幸せが続いたらいいなと切に願った。
でも、これからが俺にとってもハルにとっても本当に大変になることを、この時はまだ知る由もなかった。


まだ大変になんのかよ・・・

ハルタソ~


もうね本当泣けてしゃあない

こんなに無性に頑張ろうって思えることもなかなかない
文才あるよ


あぁ…社長イケメン

この先が気になるところだ


そうそうwハルくらいの子って「ふ」って言えないんだよなーw

おぷろとかぷーちぇん(風船)とかwww


すまん書きながらいつの間にか眠ってしまってた。

ずっと一緒さって歌聞いてたらついつい泣いてしまうんだ。
で寝るパターン。
とりあえず中途半端ですまんが少し書く。


「中度の自閉症ね。」

そう告げられた。
新生活を始めて、2ヶ月が過ぎようとしていた。
今俺は児童精神科のある、医療機関に来ている。
俺「すいません。
俺バカなんでよく分かりません。
ちゃんと説明してもらえますか?」
話しは1ヶ月前にさかのぼる。


佐々木先生「ハルちゃんのお父さん。

明日は参観日ですが、来れそうですか?」
俺「はい。
大丈夫です。休みもとってあるんで」
仕事も順調で、ハルも保育園に通い始めた。
明日は参観日と言うことで、前もって仕事も休みをもらっていた。
佐々木先生「ハルちゃん良かったねーw
パパ来るってw」
ハル「パッパーw
パッパーw」


1日保育園でのハルを見れると言うことで楽しみにしてた。

参観日の日、
ハルは俺がいることでもあって少し落ち着きがなかった。
朝の挨拶から始まり、散歩、給食、お昼寝、お遊戯と言う感じで進行していく。
ハルは俺のところに何度も来て。
ハル「かえどー。
かえどー。」
と言って手を引っ張ってきてた。
その度先生が来て連れ戻していく。
佐々木先生「ハルちゃんまだ帰らないよーw
みんなでお歌唄おうねw」


俺が保育園に来るのは、送り迎えの時だけだから仕方ないことなんだけど。

1日があっという間に終わった。
けど俺は何かモヤモヤしたものが残ったんだ。
まわりが帰宅準備をする中、俺は佐々木先生に声をかけた。
俺「先生ちょっとお話出来ますか?
ハルのことで」


園児全員が帰宅した後、教室で佐々木先生と話すことになった。

ハルは楽しそうに積み木で遊んでいる。
佐々木先生「すみません。遅くなって。
で、お話ってなんですか?」
俺「あの?その?
ハルなんですが…」
何て聞けばいいのか考えながら、
俺「みんなハルと同い年ですよね?
ハルってまわりの子達と比べて、
ちょっと違うような気がするんす。
見た目とかじゃなくて…」
何て言っていいのか分からない。


佐々木先生「成長がですか?」

そうだ。それだ。
俺「そ、そうです」
佐々木先生「お母さんから何も聞いてないんですか?」
俺「えっ?はい…」
サリナが知っていたこと。俺は殆ど家に帰ってなかった。知らないことなんて山ほどある。
俺「聞いてないって言うのは?」
佐々木先生「お母さんがお家からいなくなる前に、
そう言う話ししなかったですか?」


俺は佐々木先生に、サリナがいなくなるまでの期間、ずっと家に帰ってなかったことを話した。

佐々木先生「そうだったんですね…」
俺「ちょっと引きますよね。
本当すんません」
佐々木先生「謝らなくていいです。
ハルちゃんは、確かにまわりの子より成長は遅いですよ…あっ!」


佐々木先生は何か思い出したように、手帳を机に出した。

佐々木先生「たしか…
あっ来月の4日に児童精神科の検診がありますよ。
ハルちゃんの。
私も同伴するつもりだったから、その時にきちんと話しましょう。」


この時のハルは3歳だった。

今までハルが普通で当たり前に成長してると思てったんだよ。
でも、参観日で見た回りの子達は、ある程度言葉を理解し、ある程度会話が出来てた。
オムツも取れ、当たり前のことを当たり前にしてたんだ。
でもハルはそれとは違う。
同じ3歳の子達と比べてあきらかに成長が遅れてた。


俺はハルのために頑張ってたつもりだ。

でも本当にそうなんだろうか?
結局自分の為だったのかもしれない。
だって息子の成長が遅いことに気付かない親なんていないだろ。
どんだけ無関心なんだって言われてもおかしくない。


佐々木先生は誤解をまねくといけないから、きちんと専門家に説明してもらってほしいと言ったけど、毎日モヤモヤしていた。

男の子は女の子に比べて成長が遅いと聞いことがある。そんな感じなのかなと少し軽く考えてた部分もあった。
それでももし何か大きな病気で、今後ハルの将来に障害があるのならと、考えるだけでやりきれない気持ちになる。
それなりの覚悟は必要だと思った。


当日、地域にある医療機関にハルを連れて行くとに。

佐々木先生とは現地で合流した。
そして検診が始まる。
ハルをおもちゃで遊ばせたり、身体検査などをした。
その後専門の先生が
、俺と佐々木先生に普段のハルの様子を質問してきた。


3歳ならしっかりしてくるよな

会話を楽しんだり、積み木とかで遊んだり


先生「中度の自閉症ね」

先生は50前後の眼鏡をかけたおばさんだが、どうやらこの分野では名のある人らしい。
俺「すいません。
俺バカなんでよく分かりません。
ちゃんと説明してもらえますか?」
一言自閉症と言われても、俺の頭じゃ理解できない。
先生「発達障害よ。」
俺「発達障害?」
前回サリナが来ていたらしく、
その時に自閉症と診断されたらしい。
先生は俺がハルの自閉症を初めて知ったことを知り、1から説明してくれた。


俺「でも、

だからって普通の子じゃないわけじゃないっすよね?」
先生「これから先、どう成長するかはまだ分からないの。
でもね、これからもっとまらりの子達と差は離れて行くわよ。
それがどう言うことか、お父さんも理解していかないといけないわ」
途中から、先生の話しが耳に入ってこなかった。


俺は放心状態だった。

先生「次は半年後ね。
その時のハルちゃんの様子を見て、これからの進路を決めていきましょ」
佐々木先生「お父さん大丈夫ですか?
元気だして下さい。」
検診が終わると、そう言って佐々木先生は保育園に戻っていった。
帰り、院のそばの公園でハルを遊ばせ、まだボーっとする頭を整理する為ベンチに座り込んだ。


俺「ふぅー」

何ヶ月ぶりだろう。辞めていた煙草で一服する。
ハルは楽しそうに滑り台で遊んでいる。
先生の言葉を思い出していた。
先生「ハルちゃんを叱ったり否定したりしちゃ絶対に駄目よ。
ハルちゃんはそれだけで傷つくの。」
俺は何度もハルを怒鳴ってきた。
初めて二人で過ごした夜も、カズエおばさんの家で悪戯したと思った時もだ。
ハルにはそれが何でか分かってないのにな。
ただ傷つけただけ。
きっと辛かっただろう。


先生「あまり遠くに行ったり、知らない場所に連れて行くのも駄目よ。

不安でパニックになって辛いだけだから。」
先生の一言一言が胸に突き刺さる。
ずっとずっと連れ回してた。
その度泣いたり叫んだりしてたのを覚えている。
ハルのそ時の気持ちを少しでも気づいてやれなかった。
俺はハルにただ辛い想いばかりさせていたんだ。
本当にグズだ。
俺は下を向き、頭の中で何度も何度も先生の言葉を思い出した。
最低な父親だ。


そんなことない

一生懸命やってたじゃないか!


自分を責めるしかなかった。

どれだけハルを苦しめてきたかを考えると、胸が張り裂けそうだった。
「お父さん大丈夫ですか?」
誰かが優しく背中をさすってくれた。
佐々木先生だ。
佐々木先生「やっぱり心配になって、
戻ってきちゃいましたw」
優しい笑顔で俺に話しかけてくれた。


俺「大丈夫です…」

するとハルが近づいてきた。
ハル「パッパー、イタイの?」
俺の事心配してくれてるのかな。
その純粋な瞳に心は打ち砕かれた。
俺はボロボロ涙を流した。
人前なのに恥ずかしさなんてぶっ飛んでた。
俺「ハルーごめんな。
パパ最低だなー。」
俺はハルを強く抱きしめる。


佐々木先生「落ち着いて下さい。

ハルちゃん苦しいですよ」
俺「俺のせいなんす。
俺が全部悪いんす」
俺はただただ泣いた。叫んで。
何もかも俺のせいなんだ。
ハルがこうなったのも、ハルが辛い想いしてきたことも。
これからだってそうだ。
大きくなって自分がまわりと違うことに気づいた時に、きっとハルは傷つく。
俺がグズでロクなやつじゃないから、
ハルがこうなってしまったと思ったんだ。
ハルがあまりにも可哀想じゃないか…


俺は一生分泣いたんじゃないかってくらい泣いた。

その時は、自分への怒りとか後悔とかで泣くしかなかったんだよ。
先生は何も言わず、落ち着くまでずっと背中をさすってくれていた。
ハルは俺の横にちょこんと座り頭をヨシヨシしてくれていた。


俺「恥ずかしいとこ見せてすいません…」

ようやく落ちついた。
泣きすぎたってのもあるけど、何だか少しスッキリしてた。
佐々木先生「いいえ。
男の人がこんなに泣くの見るの初めてかもですw
ハルちゃんもだよねー?w」
ハル「ねーw」
佐々木先生「お父さんのせいじゃないですよ。
先生も言ってたでしょ?
生まれ持った性格だって。
それにハルちゃんにはお父さんしかいないんですよ。」


俺「分かってます。こんな駄目な奴が父親で大丈夫なんすかね?」

佐々木先生「わたし初めてお父さんと会った時、正直本当にお父さん?
って思ったんですw
なんかチャラいなーって。
他の園児のパパって、雰囲気とか面構えとかでパパって分かるんですけどね。
お父さんは全然そう見えなかったです。」


俺「……」

佐々木先生「でも、今のお父さんはパパですよw
パパの顔してますwあの時のお父さんとは全然違う。
見違えましたよ」
俺「ありがとうございます…」
佐々木先生「それにハルちゃんだってきっと幸せですよ。
お父さんが守ってくれてるから。
お迎えに来る時に見せる笑顔なんか、本当に幸せそうに見えます。」


俺「はい…」

佐々木先生「だから頑張りましょ。
わたしも協力します。
ずっとハルちゃんが笑顔でいられるだけで十分じゃないですか?
ハルちゃんはハルちゃんです。
今まで通り愛してあげたらいいじゃないですか?」
そう言われハルを見た。
ハルは大好きなラムネを頬張り満面の笑みだ。
また涙が零れた。
佐々木先生の言葉に救われた。ハルの笑顔に救われた。
先生が言ってたな、ハルちゃんを可哀想なんて思っちゃいけないって。


本当そうだ。

可哀想なんて思う俺は父親失格だ。
どんな障害があってもハルはハルだ。
俺はハルには俺みたいな大人になってほしくないと思っていた。
将来自分の夢を持って、それを叶えてほしいと考えていた。
でもそんな先のことどうだっていいじゃないか。
どんな未来でも、ハルがただ笑顔で過ごせれば。
今のこの笑顔を失わないために俺が頑張ればいいんだ。
今以上に愛情をそそげばいいんだ。
何があっても、
絶対にこの笑顔を守ろう。
そう誓った。


それから少しずつだけど、俺も変わっていった。

料理を始めた。
料理なんかしたことなかったけど、
ハルの為にちゃんとした物を食べさせたかった。
サリナの親に会いに行き、 今までの事を含め謝罪しに行った。
最初はすぐ追い返されてたけどな。
何度も土下座した。
許してくれるまで何度も通った。
ハルのおじいちゃんおばあちゃんなんだ。
少しずつだけど心を開いてもらえるようになった。
ハルが可愛くて仕方ないらしい。
和解とまではいかないが、これからはハルのために協力すると言ってくれた。


すまん。

限界がきたので寝ます。
いつもみんなありがとう。


1かっこいいな。ありがと、ゆっくり休んでな


夜中から一気に読んでしまった

本当にクズだったんだね
現在進行形じゃなくて何より
応援してます!


自閉症の宣告された時の親のショックはなんとも言い難い

自分が生きているうちにこんなにショックな事があるなんて考えたことも無かった。


この子は発達遅滞ではあるんだろうが全然自閉症っぽくないんだよな


自閉症だからって話せないわけではないよ


泣いてしまった…なんかここまで変わるのか…虐待しないかソワソワしたけど


ハルと過ごす初めてのクリスマス、

小さなツリーにショートケーキにロウソク。
ハル「おたんじょーび?おたんじょーび?」
と言って喜んでいたハル。
クリスマスだけど、ハッピーバースデーの歌を唄ったのを覚えている。
すごい喜んでたよ。本当。


正月にはサリナの実家やカズエおばさんに挨拶に行った。

カズエおばさんは退院して元気そうだった。
ハル「こににちわ」
義母「こんにちわねw
上手ねーw」
ハルは元気に挨拶出来て誉められてた。
ずっと練習してたんだ。
出来て良かった。


進級すると、ハルの為に園が個別で一人先生をつけてくれる事になった。

その際には佐々木先生が名乗り出てくれたらしく、担当が佐々木先生になった。
ハルも佐々木先生に懐いてたし、本当に良かった。
で、感謝もした。
休みの日が合えば、佐々木先生の進めで発達障害などのサークルや集会に行くようになった。
色んな問題を抱えた親子さん達が集まり、情報交換をする。
本当に勉強になったし、勇気を貰えて支えにもなった。


初めて尽くしの一年だったな。

ハルは4歳になった。
いつもと違う道を通ったり、
自分のうまくいかないことがあればすぐ奇声をあげ発狂してたけど、抱きしめてあげて背中をトントン。
先生「ハルちゃんの中ではちゃんとした計画があるの。
それを崩さないように。
コツコツゆっくりでいいのよ」
と児童精神科の先生。
ハルにはハルの中で強いこだわりがあるんだ。
だからこだわりを否定してはいけない。
ハルの気持ちを尊重することが大切なんだ。


毎日仕事を終わってハルを寝かせたら、少しでも育児に生かせたらと思い専門の本なんかを読んで勉強した。

ハルは耳で聞くより目で見たものを判断する。
だから絵のカードを作って教えてあげたんだ。
俺「電車だよ」
ハル「でんさー?」
俺「そうそう
じゃこれはりんごね」
ハル「じんごー?」
賢いねハルは。
上手ーw」
ハル「じょずーw」
悪魔で真似してるだけだけど、それでもうんと褒めてあげるんだ。
ハルはすごく喜んで手をパチパチさせる。


これをずっと続けていくようにした。

最近は少しずつだけど俺の言葉にちゃんと反応し理解してくれ、ままならない口調で返事してくれるようになったんだ。
すごい進歩だ。
毎週日曜日に行く、日課の散歩のおかげでもあった。
散歩に行くと子供達が良く集まる公園がある。


ハルは人見知りをしないが、やはりおかしな行動をする。

一緒に遊びたくて近づいてるんだけど、まわりのお父さんお母さんなんかが、気味悪がってわざとハルから遠ざけるんだ。
ただ仲良くしたいだけなんだよな。
少し悲しい気持ちになったけど、それは仕方のないことだと割り切った。
その時に、ハルと良く遊んでくれた女の子がいたんだ。


まいちゃん。

ハルより二つ上なんだけど、とてもしっかりしてた。
ハルは小さい子のマネをすぐするので、
まいちゃんはすごく頼りになった。
まい「ハルちゃんまいと遊ぼうねw
まいのお菓子半分あげるねー」
って。ハルもまいちゃんにすごく懐いてた。


毎日悪戦苦闘はしてたけどさ、本当に幸せだった。

我が子の成長を肌で感じながら、自分も成長出来てるみたいで。
1日1日を大切に過ごした。
ハルにとってかけがえのない1日であるよう一生懸命に。
あっという間にハルは5歳になった。
そんなある日、事件は起きた。


俺「ハルが帰ったってどう言うことですか?」

今日は佐々木先生が風邪で休みってこともあり、臨時で別の先生がハルについていた。
先生「ハルちゃんお母さんが迎えに来ましたよ。」
1時間も前に帰ったとのこと。
サリナが?
心拍数が上がる。
俺はすぐ携帯で義母に連絡した。


俺「ハルが保育園にいないんす。

もう帰ったと言われました。
サリナだと思う。
連絡ありませんでしたか?」
半年前からサリナの携帯番号が変わっていた。
そのせいでこちらから連絡は出来ない。


義母「あの子から連絡ないわよ。

わたしも探すわね。すぐお父さんにも連絡いれる」
俺「すんません。
助かります。
俺も心あたりのある場所を探しますんで」
何故今。
何故このタイミングなんだろう。
俺はサリナが行きそうな場所を探した。
前住んでいたアパート。公園。スーパー。
不安が募る。


もしかしてもうこの街にはいないかもしれない。

ハルにもう会えない。
最悪の状況が頭をよぎる。
俺はその不安を振り祓うように探し続けた。
サリナがいなくなって2年が経つ。
ハルを返してくれ。
そして、
サリナに会ってもう一度話したい。
サリナも人の親なんだ。
ハルを置いていなくったとは言え、こうしてまた会いにきた。
きっと思うところもある。
複雑な気持ちが入り交じる中、俺は駅やショッピングモールなんかを虱潰しに探した。


途方に暮れる俺。

いつかこんな日がくるかも。
そう心の中で少しは思ってたじゃないか。
でもこんなに早くその日がくるなんて。
サリナ「ハルが大きくなったら、また3人でこようね?w」
昔のサリナの言葉を思い出した。


春は桜が満開。

秋は紅葉で彩る。
地域にある記念公園。
あそこかもしれない。
時間が経ちすぎてあたりは暗くなっていた。
最後の希望はそこしかない。と、そう思い夢中で走った。


俺「ハァ…

ハァハァ…」
汗だくで酸欠状態だ。
ギィーコ…ギィーコ。
「キャハハハハw
キャハハハハw」
ハルの笑い声が聞こえる。
街灯に照らされた二人の姿を見つけた。
ブランコに乗るハル。
それを押していたのはサリナだ。


俺「ハァ…ハァ…」

ゆっくりと近づく俺。
サリナ「久しぶり。」
そこには優しい笑顔でハルと遊ぶお母親の姿があった。
俺に気付いたサリナはすごく冷静だった。
俺「ハァ…
もう…会えないかと思った…ハァ
ハルにも…お前にも…ハァハァ」
サリナ「ハル、随分大きくなったね。
本当に大きくなった。」
サリナはハルの頭を撫でながら俺とは目を合わせない。


ハル「パパァー」

ハルが俺に気付いて笑顔で走り寄ってきた。
俺は、またハルをこの手で抱きしめれた事に少し安心した。
俺「ずっと…
ずっと待ってた…
お前ともう一度会って話したかった…
あの日記ですごく救われたんだ…」


ハルが自閉症だと診断を受けてすぐ、佐々木先生からサリナが毎日日記をつけていた事を教えてもらった。

俺は前のアパートにそれを取りに行ったんだ。
家財は全てなくなっていたんだけど、大家さんが処分に困っていたと、日記や母子手帳なんかを入れた箱をとっておいてくれたんだ。


その日記には、

ハルが産まれてサリナがいなくなる一週間前までが記されていた。
そこには、俺の知らないハルの成長と、サリナの気持ちがたくさん書かれていた。
ハルが離乳食を食べた日。
ハイハイからつかまり立ちをした日。
健康診断にひっかかた日。
自閉症の疑いがあると告げられた日。
俺が会社をクビになったこと。
俺が帰らなくてなったこと。
連絡すらとれなくなったことまで全部だ。


でもその日記には、喜びや不安は書いてあったけど、微塵も不満や嫌みは書いてなかった。

そこには優しくてたくましい、ただ息子を愛する母親の姿を感じた。
なのにだ。
なのに何故ハルを置いていったのか。
ずっと疑問だった。


申し訳ないが今日はここまで。

続き今日書けたら書きます。
後書く必要はないかもなんだけど、
ハルは道路の白線をずっと睨み付け行き来したり、戸を開け閉めするのが好きだったよ。
電気を付けたり消したりね。
後はつま先だけで走ったり気になった物があれば、ずっとそれとにらめっこしてたり。


散歩が好きだったから、2時間3時間歩くのは当たり前だったな。

こだわりの強い子だったのに俺がその時は気づかなかった。
それが普通の子供だと思ってたし。
結構クセはあったけどそこは端折らしてもらったよ。
最初は思い出したかったのと整理したかったってので書き始めたんだよ。
後誰かに聞いて欲しかったってのもある。
今はこうやって見てくれて共感してくれる人もいて、また親になってる人も見てくれてて。
本当に感謝。
だから最後まで書こうと思ってる。


生意気言うが、

あったことを思い出して書いてるんだが、多少美化してるところは否定しない。
後は実話かどうかってのは個人で判断してくれ。


おいついた、面白いよ

こんな言い方になって悪いが
中卒でクズだからこそ、自閉症への変な先入観がなく
ハルはこういう子なんだって受け入れやすかったのかなと思った


すまん。

続きです。
サリナ「よく分かったね。ここにいるって。」
俺「あー…
勘だよ。もしかしたらって…」
来ると思ってここで待っていたんだろう。
ここが最後だ。本当に来て良かった。
サリナ「ごめんね。
勝手なことして。
心配したよね?
本当にごめん。」
俺「いいよ。
元気だったか…」
言葉が詰まる。


いったい今まで何処で何をしてたのか。

何故連絡がとれなかったのか。
今は何処に住んでいるのか。
他に男ができたのか。
聞きたい事は山ほどあった。
でも、それを言葉にすることが出来なかった。
何故なら俺自身、ずっと自由にやりたい放題してきたんだ。
今更サリナを責める資格はない。
ただこうして目の前にいる。
それが何故か嬉しかった。


俺「ずっと謝りたかった…

駄目なやつだよ俺…
サリナが出ていって、ハルを一人で育てて。
初めて子育ての大変さを理解した。
毎晩思うんだ。
一人でハルを育て、サリナはきっと不安でしかたなかっただろうなって。
辛い想いをさせたこと、申し訳ないと思ってる。
本当にすまん…」


サリナ「いいの。

わたしが悪いの。
自分が母親として未熟だったから。
ハルを連れて行かなかったのは、わたしの身勝手だから…」
俺「なぁ…」
もう一度戻って一緒に暮らそう。
ハルのために、俺達家族のために。
そう言いたかった。
でも、
言い出せなかった。。。
俺の続きの言葉を待つサリナ。
一瞬時が止まったように、ただ無言が続く。


サリナ「今までありがとう。

わたし出ていってすぐ、ハルを置いてきたこと後悔したの。だからね…」
言葉を止めるサリナ。
この後何を言われるのか分かっている。
この先は聞きたくない。
頼む。
言わないでくれ。
サリナ「だから、ハルを返してほしいの…
勝手だって分かってる。
でも、わたしにはハルが必要なの…」
と言って後ろからハルを抱きしめた。
サリナ「お願い…
お願い…」


頭を下げ肩を震わせるサリナ。

昔の俺なら即答でOKしたと思う。
その時の俺には子育てなんて無理だったからな。
俺「すまん…」
それしか言えなかった。
俺は自分の行いを後悔している。
勝手きままをしてきたんだ。
どの口で
「駄目だ。今更現れてふざけたことぬかしてんじゃねー。」
なんて言えるワケがない。


もう一度やり直そうなんて、単細胞の俺はまだ変な期待を持ってた。

バカだよな俺。
そんな気持ちサリナにはこれっぽちもないはずなのに。当然だよ。
サリナ「今ならハルと二人でもやっていけるから…
本当に今日までありがとう。ハルを面倒見てくれて…」


もし俺が何か言っても、きっとサリナはハルを連れていくだろう。

サリナの言葉には、そんな決意や重みが感じ取られた。
それにサリナを見つめるハルの眼差しは、ようやく母親と会えた嬉しさが滲み出ていた。
その瞳は決してサリナのことを忘れていない。


だから余計切なくなる。

ハルにどちらを選ぶかなんて聞ける訳もなく。
だいたい、ハルには理解できる状況じゃない。
親の身勝手だ。
なにより、子供にとって母親がいないことが、どれだけ辛いかを俺自身よく理解しているつもりだ。
ハルにそんな想いはさせたくないよな。
そう思った。


俺「ウウィンナー…

後オムライスが好きなんだ…
たまに作ってやってほしい」
サリナ「うん…」
俺「日曜日は…
弁当持って、散歩してあげてくれ…
日課だから…」
俺「寝る時泣いたら…
ゆりかごの歌唄って、トントンしてあげてくれ…
ぐっすり眠るんだよ」
強がるしかなかった。


俺は父親失格なんだ。どれだけ2年間頑張っても、家族を無視し続けたと言う事実は変わらない。

どんだけ努力しても。そう簡単に溝が埋まるはずがないんだ。
俺「後親父さん達、すげー心配してたから。
連絡は入れた方がいい…」
サリナ「うん…」
そう言うとサリナが携帯を取り出した。


サリナ「もしもしママ。

久しぶり…」
母親に電話をしたようだ。
サリナ「分かってる…
本当にごめんなさい。
今俺君とハルも一緒…
うん…分かってる。」
電話を切ると俺の方を見た。


切ない、切なすぎる


サリナ「本当に今までハルのことありがとうね…

また色んな手続きとかもあるし、ハルの荷物もあるし。また連絡します…」
そう言ってハルの手を握り、後ろを向いた。


キツいな…


歩き出すハルとサリナ。

その背中を見て、心臓がギュッと押し潰されそうで、胸が苦しくなる。
これでいいんだ。
これで。
ハルの幸せが一番なんだから。
ハルは何度も振り返って俺を見た。
本当にこれでいいのか?


うわぁぁぁああ!!


これじゃだめだーーーーーーーー


マジかよ・・・・


俺「サリナ!!」

俺は大声で呼び止めた。
サリナが振り向く。
俺「遅いし…
泊まってけよ…」
サリナはハルの表情を伺った。


サリナ「そうだね。一晩泊めてもらおうかな。。」

サリナが家に来ることになった。
もう少し。
もう少しだけでいいんだ。
ハルのそばにいたい。


サリナ「綺麗に片づけてるんだね。」

俺「あーうん。
今すぐなんか作るからくつろいどいて。」
俺は冷蔵庫の中のもので適当に作った。
なんだか緊張する。
いつもハルと二人だったから。


その間サリナはハルとおもちゃで遊んでた。

俺「それ、ハルのお気に入りのおもちゃなんだ。
持っていってあげてくれw」
空元気って言うのかな?俺は無理して笑顔を作った。
今日はずっと笑顔でいるんだ。絶対悲しい顔をしないと決めた。
ハルに気づかれないように、お別れしたかったんだ。


ウワアァ━━━━。゜(゜´Д`゜)゜。━━━━ン !!!!!


野菜炒めと味噌汁だけだけど、テーブルに置く。

俺「さー食べよ。
腹減ってるだろ?」
サリナ「いただきます」
そう言って味噌汁を一口飲んだ。
サリナ「おいしい。」
サリナがビックリした表情で俺を見た。
俺「そうかw
良かったw」


サリナ「料理出来るようになったんだね?」

俺「そりゃコンビニ弁当ばっかじゃ体に悪いだろw
最初は苦労したんだ。
ハルも全然食べてくれなかったしなw
食えたもんじゃなかったよw」
サリナ「そっか。
すごいね。
ハルもすごく賢くなったし。
俺君頑張ってくれたんだね。」


ハル「ちーまん。ちらい。」

ハルはピーマンをフォークでよけている。
俺「ハル。ピーマン食べないと大きくならないよ。
ずっと小ささいままだぞ」
ハル「ちいさい。やー」
サリナ「俺君。本当にパパみたいだねw」
サリナが笑って俺を見た。
サリナの笑顔。今日始めて見たような気がする。
いや、ずっと見てなかったな。
こうやって家族三人で食卓を囲むのは初めてだ。
だけど、これが最初で最後なんだ。


頼む、頼むよ


ハルを寝かせて、電気を消し俺は畳に寝転ぶ。

サリナはハルと一緒に布団に入った。
全然眠れる気がしなかった。
ハルと過ごした1日1日を思い返していた。
ハルの寝顔を見るとまた泣きそうだ。
サリナ「寝れないの?」
背中を向けたサリナが言った。もう寝たと思っていた。
俺「すまん…」
何で謝ってんだ俺は。


ヤバいヤバいヤバいヤバい


サリナ「俺君変わったね。

大人になった。
パパだよ本当。
ハルのこと本当に理解してるみたいだし。
ハルもすごくパパに懐いて。パパっ子だね」
俺「そりゃずっと一緒だったからなw
それにハルのおかげで、少しだけど成長できたんだよ俺も。
良い父親じゃなかっただろうけど。」


お願いやめて


俺「俺みたいな最低なクズ男でもさ。

こうやって父親できるんだ。
子供ってすげーよな。
どんな辛いことがあってもさ、
その笑顔を見るだけで、よし頑張ろって思えるんだよ。
子供の成長だけじゃない。それで親も成長していくんだなw」
ハルが初めてパパって呼んでくれた日。
俺は変わろうと思った。
ハルが自閉だと分かった時、父親としての自覚が出来た。
本当にハルのおかげなんだ。


涙なしじゃ見れない・・・


それから少し話した。

俺が帰らなかった頃のハルの話。
サリナが出て行ってからの俺とハルの話。
サリナが出て行った理由。
今は地方の友達のところで介護の仕事をしていると言ってた。
初めてサリナと向き合って話したような気がする。
本当に何もかもが遅すぎたと後悔した。


んだんか心がえぐられるな


サリナ「わたしね。後悔してるんだ…

あの日ハルを置いていったこと…
何もかもから逃げ出したくなって…
気づいたら電車に乗ってた…」
サリナは何度もハルに会いに保育園まで来ていたらしい。
何度か顔を見たけど、足が竦んでそばにいけなかったと言っていた。


俺「これからは一緒だよ。

いっぱいママができるだろ?
2年間ハルも頑張ったし、サリナも頑張ったんだ。
ハルを大事にしてくれな。
こんな俺が言うのもなんだけど。」
サリナ「ありがとう…
でも俺君はそれでいいの…?」


本当は駄目だと言いたい。

それでもハルの幸せはサリナと暮らすことなんだと自分に言い聞かせた。
俺「ハルにはママが必要だよ。
俺は大丈夫だ。
ハルにまた会いにいくし…
何か困ったことがあったらいつでも頼ってくれたらいい…」
サリナ「ありがとう…
ごめんね…」
その言葉がすごく心に響いた。
辛くてしかたなかった。
サリナは泣いているのか背中が震えていた。


カーテンの隙間から、朝の日差しが差し込んだ。

ハッと目が覚める。
いつの間にか眠ってしまったらしい。
まわりを見渡す。
布団が畳まれていた。
どうやら俺が眠っている間に出ていったらしい。
俺「はぁ…」
ため息と共に全身の力が抜けた。


「パパー。ごぱんするの」

えっ?ハルの声。
驚いて振り向くと、俺のそばでハルが目を擦っている。
俺「ママは?」
ハル「しなない…」


あかんて…


テーブルを見ると封筒が置いてある。

慌てそれを取り出した。
中には手紙があった。
そして判のついた離婚届。
顔も洗わずそのまま手紙に目を通した。


「俺くんへ

朝早いけど始発があるので、起こさないでそのまま出ます。
おじゃましました。
御飯おいしかった。ご馳走さま。
ハルは置いていくね。
夜中に起き上がって、俺君にくっついていったの。
俺君のそばじゃなきゃ安心して眠れないのかな。
ハルは俺君が本当に大好きみたい。
そんなハルの気持ち無視できないよ。


離婚届は判を押して出して下さい。

今さらだけど、もし今の俺君となら幸せになれたかもね。
わたし本当に最低な妻で母親でした。
許して下さい。
本当に勝手ばかり言ってごめんなさい。
もう少し落ち着いたら必ず連絡します。
ハル 一度もママって言ってくれなかったな。
当然なんだけど、すごく寂しく感じた。
これから大変かもだけど、どうかハルをよろしくお願いします。
サリナ」


手紙を置くとハルを強く抱きしめた。

自然に涙が溢れる。
俺「ハル。
ママ好きか?」
ハル「しゅきー」
俺「そっか。
ママまた会いにくるからな。
それまでおりこうにしてような。」
ハル「ハルおりこーよw」
俺「うん」


サリナがハルを置いていったのは、きっと俺と同じ気持ちだったんだと思う。

もし、もう一度一緒に住もうと言っていたら、違う結果になってたのかな。
こうしてまた、
父親としての生活が始まる。
それが嬉しくて仕方なかった。
ずっと前は、家族なんかで俺の人生犠牲にしてたまるかって思ったりしたこともあった。
でもさ、
誰かの為に生きるって大事だよな。
家族がいる。
守るモノがある。
それだけで幸せなんだ。


いい父さんになったな…


よかったあああああ


とりあえずここまでにしときます。

続きはまだあるんだけど、スレも後少しなんで簡潔に書くべきならそうします。
とりあえずみんな本当にありがとう。
こんな時間まで付き合ってくれて。


何年前の話か分からんが
とハルが今も幸せに生活していることを願う


続き

「見つけたぞ。
お前が探してるやつ。」
仕事中にツレからの電話だ。
サリナとの事があって数週間が経った。
あれから俺は人を探してた。


俺「今どこにいんの?」

ツレ「ホストは辞めて、○○ってBARでバーテンしてんだと。」
俺「そっか。
分かった。ありがとう。」
電話を切るとすぐ保育園に連絡した。
用事で遅れるって。
仕事が終わると、その足で電車に乗り込み繁華街へと向かった。


俺がサリナと喧嘩ばかりで、たまにしか家に帰らなかった頃のことだ。

毎晩クラブに行ってはナンパばかりしてた。
その時もツレと二人でナンパしてた。
俺「ここ初めて?」
女「うんw」
ツレ(洋介)「良かったら、俺ここのオーナー顔きくからVIPいかない?
おごるよw」
ちょうど良さそうな女二人をタゲにした。


女「行く行くーw」

きつい酒飲まして、いい感じになったらカラオケかホテルに誘う。
お決まりのパターン。
俺「ねぇ、2人きりになれるとこいかね?」
女A「いいよーw」
俺「俺ら今から外出るけど、
洋ちゃんはどうする?」
洋介「じゃ俺らも行くか?」
女B「うんw」
そう言って出ようとしたとこでギャル男三人組に止められた。どうやらホストらしい。


ホスト1(リョウ)「おいクソ。

お前俺ってやつか?」
俺にわざと体をぶつけてきた。
カチンときたけどとりあえず我慢。
俺「ん?
そうだけど何か?」
ホスト2「ユミって女知ってんだろ?」
ユミ?ユミ?んー知らない。
俺「いや知らね。」


リョウ「バカかてめー。

アホなの?
先週ナンパしただろ?」
俺「ユミって女知ってる?」
覚えがないので洋介に聞いた。
ツレ「あーたしか先週ナンパした女じゃね?
たしかユミとかって…
確か趣味ホストとか言ってたよなw」
俺「そんなのいたかなw
ごめん。
毎日ナンパしてるから忘れたわ。
そのユミって女が何?」


先週ナンパした女は、このホストの女だったらしい。

でお冠なわけだ。
リョウ「おいカスが調子のんなよ。
人の女に手出しやがって。
どう責任とんだ?あっ?」
他の2人のホストはそれを見てニヤけてる。
俺「でもあの女彼氏いねーって言ってたなw」
リョウ「ぶっ殺す」
俺の胸ぐらを掴むホスト。
リョウ「頭ワリーの?
なんなら恐い人呼ぼうか?」


俺「落ち着けよホスト君。

まあ、話しならゆっくり外でしよw」
ナンパしてたら、こんなトラブルはしょっちゅうだ。
だから一応、毎回彼氏持ちかどうか確認するんだけど。
まあナンパに付いてくるような女は、たいがいいないって言うのは当たり前か。
とりあえず女置いてツレとホスト3人と一緒に、表に出たわけだ。


ガキの頃から喧嘩ばかりだったし、当然出た瞬間にボコボコにしたんだ。

一番粋がってた、リョウってホストは鼻の骨が変な方向に曲がって、血反吐吐いてた。
泣いて許してくれって言ってたけど、やる時はとことんやる性格だったから歯止めが利かなかった。
氏んだんじゃないか?ってとこでようやくブレーキがかかった。


俺「ごめんなー。

ちゃんと生きてる?
お前の女いい体してたわw」
覚えてないけど。
ツレ「ウホッ。
こいつ財布に10万入ってる。
手が痛てーし、慰謝料代わりにもらっとくかw」


やりたい放題。本当無茶苦茶ばっかしてたんだよ。

当然のようにその報いを受けた。
ただし不幸はサリナに降りかかった。
サリナが泊まったあの日、言ってたんだ。


子育てだけ読んでるとすげーいい奴に思えるけど、ヤンチャしてたんだな


俺が家にいないのに、リョウってホストと店のオーナーが来たと。

リョウはすごい怪我をしてたらしい。
俺にやられたから慰謝料払え。
払わないなら刑事事件にすると言われたそうだ。
夜中に何度もしつこく家に来たらしい。


俺が刑務所に入るのが嫌だったのと、俺が少しでも変わってくれるならと思い、渋々契約書にサインしたらしい。

毎月10万の支払いはきつかった。
俺とは連絡つかないし、
貯金も底をついてた。
パートだけじゃたかが知れてる。
家賃も払えず支払いに追われ、とうとう精神的に限界がきた。
そして現実から逃げてしまったとサリナが言ってた。
何より俺を裏切ってしまった自分が許せないと。
もう母親でいられないと思ったらしい。
結局サリナを追い詰めたのは俺なんだよな。
俺はクズすぎだ。
本当。
分かってたことだけど、
結局サリナが出て行ったのは全て俺が悪いんだよ。


自閉症の子を抱えてこの仕打ち…

そして今はパパに懐いている現実
子供を置いて行くのは最低だという意見も
あるがやりきれんな奥さん…


ツレに教えてもらった○○って言うBARに到着した。

ビルの二階で人気はなかった。
【close】の表札がぶら下がっている。
どうやらまだ店は閉まってるらしい。
一つの覚悟をしてリョウに会いにきたんだ。
ずっと自分の行いを後悔してきたんだよ。
そして今回も。


入り口の横で座って待ってるうちに、リョウがやってきた。

リョウ「すんません。
もうすぐ店開けますんで。」
俺はすぐ気づいたけど向こうは気づいてない様子だ。
俺「いや、
客じゃないんすよ。
リョウさんすよね?ホストやってた」
リョウ「あーそうだけど。
リョウは源氏名で本名は違うっすよ。
あんた誰?」


俺「俺っていいます。

覚えてますか?」
ハッとした顔をした。どうやら思い出したようだ。
リョウ「な、何だよ。
今さら?
け、警察呼ぶぞ。コラッ」
リョウの顔色が変わり動揺を見せる。


俺「あのずっと前。

クラブで俺がしたこと覚えてますよね?」
俺は息を飲み目をつぶった。
リョウ「わ、忘れるわけねーだろ。
だから何だよ今さら。」
俺「どうもすいませんでしたー」
俺は土下座し頭を床につけた。


俺「許してもらえるようなことではないのは重々承知です。

でも、
本当に本当にすいませんでしたー」
俺は大声で謝った。
何を今更って感じだけどな。
それがリョウに火をつけたのは言うまでもない。


リョウは立てかけてたモップで、俺の顔に目掛けてフルスイング。

目の上を切ったのか血がタラタラと床に滴り落ちる。
俺「すいませんでしたー」
俺はすぐに姿勢を戻して謝った。
リョウ「っざけんな。
このカス」
今度は蹴りだ。
それでも姿勢を戻して謝った。


リョウは完全にキレたのか、何度も俺に蹴りを入れ、胸ぐらを掴んで顔を殴った。

リョウ「おいお前の嫁バカだよなw
きっちり100万払ってよ。
しかも追加で50万請求したら、もう金がねーって言うから、
仕方なく体で払ってもらったわw
子供産んだ割に工口い体してたわw」
いつもの俺だったら、我慢せずに反撃してた。
でも歯を食いしばった。
サリナはそれを裏切ったと後悔してたんだ。
責任は全て俺にあるんだ。


痛みを通り過ぎて感覚がなくなった頃、リョウも疲れたのかようやく手が止まった。

リョウ「ハア。ハア。
バカかお前。ハアハア」
俺「すい…ません…でした…」
口の中を切ってうまく喋れない。
リョウ「チッきめー。
もういいよ。ウゼーッ。
その面二度と見せんな。」


そう言ってリョウは店へと入っていった。

俺は気を失いそうだったけど、どうにか持ちこたえて壁にもたれて座り込んだ。
何故わざわざこんなことしたかって。
自分への戒め。
そして誠心誠意リョウに謝りたかった。
ただの偽善だとか、自分に酔ってるだとか言われるかもしれないけど。
それでも俺はきちんと謝りたかったんだ。
何よりサリナはもっと辛かったんだよ。


若気の至り?

昔はやんちゃしてました?
ダッサ。
そんな父親嫌だよな。
これから先、もしハルが誰かを傷つけたとして。
俺はどんな顔でハルを叱ればいいのか。
こんな俺がハルに何て教えたらいいんだ。
怪我をさせて謝らない親が、息子に謝れなんか言えるか?
こうでもしないと、俺自身納得がいかなかったんだ。
これが良かったと言うわけじゃないんだけど。
それでも、俺は誇りを持って息子にいけないことはいけないって言いたい。
少しでも良い父親になりたかった。


うわー、しまった。

保育園からの電話でハルの迎えを思い出した。
俺はタクシーに乗り込んで急いで保育園に向かった。
まあ体が痛くてゆっくりだったけど

ボロボロな俺の姿を見て、運転手さんがすごく心配してたのを覚えている。


ハルと佐々木先生が門の前で待っていた。

ハル「パパーw
おかえりー」
ハルがよってきた。
俺「おそくなって…ごめんな…」
佐々木先生「キャッ。どうしたんですか?
その怪我…」


俺「すいま…せん…痛ッ

転んじゃって…」
すぐに近くの病院で手当てをしてもらった。
結構痛い所だらけだったけど、体だけは丈夫だったんだよな俺。


俺「大した怪我じゃなくて良かったっす。

本当迷惑かけてすいません…痛ッ」
佐々木先生「どこが大したことないんですか?
大怪我じゃないですか?」
俺「すいません…面目ない…」
ハル「パパー、イタいの?イタいの?」
ハルが心配そうに俺を見る。


俺「心配かけてごめんなー。

もう大丈夫だよ」
そう言ってハルの頭を撫でた。
佐々木先生「いったいどうしたんです?
転んでこんな怪我…ありえないです」
俺は佐々木先生に簡単にだけど理由を説明した。


佐々木先生「はぁ」

佐々木先生が深く溜め息をついた。
俺「本当にすいません。」
佐々木先生「駄目ですよ。
許せません。
喧嘩なんて信じられない。
大の大人が。
もしもお父さんに何かあったら、ハルちゃんはどうなるんですか?
ハルちゃんのこともっと考えてあげて下さい。」


ごもっともだ。

単細胞すぎる俺。
でも何だかすっきりしてる。
佐々木「お父さん?昔にどれだけ間違いを犯しても関係ないです。
父親なんだからハルちゃんが間違ってたら、きちんと注意すればいいんですよ。
それが親なんだし、誰だって子供には正しく生きてほしいと思うのは当然なんですから。
お父さんが間違いに気づいたってだけで十分じゃないですか?」


俺「はい」

佐々木先生「父親なら、過去にどんな悪いことしてきても。
子供のためなら手本になれるでしょ。
大事なのは今ですよ。」
正論だ。
佐々木「よろしーwもう絶対にこんなことしないって、ハルちゃんにもわたしにも約束して下さい。」
俺「はい。約束します。」
佐々木「明日はわたしが朝ハルちゃん迎えに行きますから。
ちゃんと体を休めて下さいね。」


どうもこの先生といたら調子が狂う。

でもこうやって、真剣に間違いを正してくれる人がいるってことは俺には大切なんだ。
彼女の言葉はハルのためなんだ。
本当に勉強になった。
まだまだ父親としては未完成だと実感させられた。


次スレ立てようか?


今日はもう終わりかな。。


次スレ楽しみにしてます

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